昨日は、アレルギーは正攻法では太刀打ちできないというつもりで書きました。
食物アレルギーは、重症化すると、食べさせる努力をしているにもかかわらず、なかなか食べられなかったりします。拠点病院を作ることは悪いことではないにしろ、患者さんが集中し、待つ期間が5か月先だとしたら、それは非常に考えものです。
重症な小学生などなら、5か月待っても体制に影響はあまりないでしょうが、特に0歳児では、そんなに待たせる訳にはいきません。学会も、「紹介しろ」と言うだけで、代案がないようなので、打つ手なしと思っているのでしょう。
アレルギーは診断が大事です。私も正しく診断し、適切に治療したいと考えています。いつも書いている通り、ぜんそくを“風邪”、アトピー性皮膚炎を“乳児湿疹”とか誤診する小児科医、皮膚科医があまりにも多過ぎます。
私も診断基準にはこだわっているのですが、ある意味、戦略に問題があるのかもしれません。
例えば、ぜんそく。診断基準はゼーゼー、ヒューヒューを繰り返すものとされます。1、2回そういうエピソードが見られても、ぜんそくの診断基準を満たさないから風邪だという考え方が多いように思います。
アトピー性皮膚炎もまた然り。多くの医師が、皮膚がゴワゴワして、非常に痒い湿疹をイメージしているため、診断基準を満たしているにもかかわらず、平気で“乳児湿疹”などと言っています。
しっかりと診断基準を満たすまで必要以上に待っていると、それは悪化、難治化を意味します。要するに、診断を確定するタイミングを逸しているように思います。
それと、私の提唱したいのが、アレルギーの早期発見・早期治療です。となると、ぜんそくならゼーゼー繰り返す前に、アトピー性皮膚炎なら2か月の経過を確認する以前に対応する必要があります。
軽微なうちに治療する必要性を訴えているのです。となると、特に非専門医は、迷うでしょうね。アレルギーを多く診ている医師じゃないと、対応が難しいように思います。最も詳しいはずの日本の第一人者も、軽微な状態を診る機会はほとんどないでしょうから、いろいろ迷うかもしれません。
「診断を正しくつけようとすること」と「早期発見・早期治療すること」は相反することで、これが早期対応のアプローチを邪魔しているのだろうと考えています。
でも、長年アレルギーにこだわってきて、ぜんそくもアトピー性皮膚炎も食物アレルギーも重症化すると、本当に治りづらいと感じています。アレルギーを攻略するためには、早期発見・早期治療しかないと思っています。
昨年6月に「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」が発表されました。アトピー性皮膚炎の湿疹を治療した上で、生後6か月から卵を少しずつ食べさせるというものでした。早期の対応が大切であることを教えてくれています。
では、ぜんそくやアトピー性皮膚炎はどうか?。学会は何も言っていません。結局、食物アレルギーは、成育医療研究センターが素晴らしい論文を出したので、それに便乗した感じがありありです。
来年は、ぜんそくやアトピー性皮膚炎の早期発見・早期治療について私の考えを学会で主張していきたいと考えています。