私が「すこやか健康フェア」を始めた理由は、食物負荷試験の存在を新潟県内に広めたいと考えたからです。
少しはその存在を知ってもらうに至ったと思うのですが、負荷試験を行える医師がほとんどないため、多くの患者さんが負荷試験を受けられていない現実があります。
では、なぜ医師が負荷試験をやりたがらないか?。千貫先生は除去と言っておいた方が楽だからということをおっしゃっていました。やはり人間、楽な方に流されるもの。負荷試験をやれば、その分の報酬は得られますが、リスクと手間を掛けるほどのメリットはないと多くの医師が考えているようです。
残念ながら、多くの医師が損得勘定で動いており、これが日本のアレルギー医療の現状です。
ただ、負荷試験が広まらない理由は、学会側にもあると考えています。
実は、明日、新潟市に日本の第一人者が講演に来られます。私も発表をする予定になっています。どうしたら開業医が卵アレルギー対策を取れるか?という話をする予定で、現在スライドを作成中です。
学会は、負荷試験は加熱した卵を使うべきで、その何分の1から負荷していくと言っています。多くの開業医にとって、卵焼きなりゆで卵を何分の1から食べさせることに抵抗を感じています。
要は、学会が自分達の施設で研究した方法を、開業医にも真似しなさいと言っている訳ですから、卵そのものを食べさせて、アナフィラキシーを起こしたら責任が取れないと思っているのだろうと推測します。
私は、よく言っているように卵クッキーを用いて負荷試験を行っています。いきなり卵焼きを食べさせるのは、私でも少し抵抗がありますし、卵クッキーは小麦と抱き合わせで焼いてあるため、相当アレルギー症状が出にくくなっています。
どこにでも売っているような卵クッキーを1枚でも食べさせていくことは、とても重要です。開業医向けの加工品を使った負荷試験の方法を学会が主導してくれれば、結構広まると思っています。
研究では、加工品を用いると含有量などの明確でない部分が出るためだろうと思います。結局自分達が研究でやり慣れた方法を、開業医にもやらせようとすることが間違っているのだろうと考えています。
ちなみに当院では、卵クッキーを用いた負荷試験は、症状の出る確率は3.9%で、出ても軽微な症状のみでした。96%は安全に食べられている訳です。
こういうことを学会で何度も発表していますが、幹部からは見向きもされません。結局、自分達のやり方が一番だと思っているのでしょう。開業医にとって、一番じゃないから広まらないと考えないのでしょうか?。
開業医に「紹介してください」と言っても、経営的なこともあり、素直に紹介なんてしないし、早期の軽いうちに食べさせるべきです。ダラダラと除去が続いているうちに、重症化してしまうこともあるでしょう。
いまの学会のやり方では、負荷試験は広まらない。それが私の結論です。