学会に参加してくると、いまの“流れ”が分かります。
多くの医師が何に関心があり、学会に足りないものなどを理解することができます。私が参加したものの中で、大盛況だったのは、成育の大矢先生の食物アレルギー発症予防に関する講演だったように思います。一番大きな会場がいっぱいになっていました。
確かに私も今回に限らず、大矢先生の講演を聞く機会が多くなっています。食物アレルギーは、何年も経ち、重症化してしまうと、かなり治療が難しくなります。それは、学会の重鎮の話を聞いても明らかです。
開業医として、ある意味一線にいて、食物アレルギーの患者さんを多く診ていると、重症化する前に食べさせることが大切であることに気付きます。これもよく言っていますね。5歳よりも4歳、4歳よりも3歳、3歳よりも2歳、2歳よりも1歳、そして1歳よりも0歳。
食物アレルギーも慢性疾患なので、ぜんそくやアトピー性皮膚炎と同様に、慢性化してこじれればこじれる程、治療を止めることが困難になります。イメージ的な問題ですが、年齢が長ずれば、食物アレルギーが“固定化”してしまうのだろうと思います。
“固定化”してしまう前に、“可逆性”のあるうちに「食べさせる」という手段で改善にもっていけるところが、食物アレルギーのいいところ。ただ、“固定化”とか“可逆性”は年齢や食材によっても異なるように感じています。
ちなみに、ぜんそくやアトピー性皮膚炎は、食べて治すという方向にもっていけないので、なおさら早期に発見し、治療に結びつけることが大事だと考えています。
ただし、今回の学会をみても、ぜんそくやアトピー性皮膚炎を早期に見つけ、治療するという発表はほとんどなかったように思います。食物アレルギーも、大矢先生のお陰で生後6か月から食べさせた方が有利という方向性が示されたにも関わらず、そういう演題が非常に少なかったのは、残念なことです。
確かに“固定化”してしまった患者さんを治すのは困難なことですが、食物アレルギーが増え続けている現在、減らす努力をするのが学会の務めであって、そういう提案がなかったのは、学会の力不足を感じざるを得ないと感じています。
将来を担う子ども達が慢性の病気になってしまった場合、治りづらいのは現実ではありますが、今の学会にはそういう光明を見出しづらいように感じてしまいました。
それを打破するには、基本中の基本、早期発見・早期治療のほかにないと思っています。


