小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

10代前半の場合
2018年10月31日 更新

昨日の続きです。

先日、生後6か月と10代前半の子の負荷試験をやりました。食材は卵でした。昨日も触れたように、生後6か月の赤ちゃんはゆでたのち、数時間放置してから分離した卵黄を用いました。

そうやって少しずつ食べさせると、卵アレルギーを克服できます。「鉄は熱いうちに打て」ということわざの通り、早く手を打つことが重要です。

一方、10代のお子さんは、卵アレルギーでアナフィラキシーを起こしたこともあり、当院でエピペンを処方しています。

「状況は違うのね」とお思いだろうと思います。カルテを紐解いてみると、状況はほぼ一緒です。つまり、赤ちゃんの時にアトピー性皮膚炎があり、顔がだいぶジクジクしていたようです。それで「経皮感作」を起こし、卵がクラス5まで上がっていたそうです。

今回の6か月の赤ちゃんは、わりと早く受診していただいたものですから、卵白はクラス3でした。アトピー性皮膚炎の治療が適切に行われず、卵アレルギーも重症化させてしまったようです。しかも、卵は完全除去を告げられていたようです。

私ならクラス5でも、今回の赤ちゃんと同様に卵黄から食べさせていたでしょうに、本来行うべき医療のまったく逆のことが行われたいたという訳です。ただ、10年以上の前のことなので、仕方ない部分はあります。

当院の卵アレルギーの対応の鉄板ネタじゃないですが、卵クッキー、カステラ、卵焼きの順で負荷試験を進めていきます。

当院を初めて受診されたのは、10歳前くらいだったので、卵をずっと除去してきた身にとって、卵の加工品でも食べることは至難の技でしょう。

実際、卵クッキーさえ、腹痛を訴え、なかなか食べられません。それでも、1/2枚でも食べてもらうよう指導しています。カステラもなかなか食べられず、でも親子で少しでも食べるよう努力していただき、今回卵焼きを用いての負荷試験に辿り着きました。

一応、卵焼きを3/8を食べたところで、終了としています。より多くを食べさせようと欲を出して、強い症状を起こさせてしまえば、これまで積み上げてきたものが一気に崩れ去る恐れがあるからです。

当院初診から2年半程でここまで来たんですから、私もうれしいし、患者さん親子の頑張りは賞賛に値します。

多分、昨日触れた6か月の赤ちゃんは、卵アレルギーを予防できると思います。10代の子は、上手くいかなかった例みたいで、対比するとかわいそうですが、10年近い遅れを、努力で取り戻そうとしています。本当にスゴいことです。

でも、親御さんも当時可能なら、早期に対応し予防できた方が好みでしょう。やはり食物アレルギーも早期発見・早期治療が大事であることを知っていただけたと思っています。