小児科 すこやかアレルギークリニック

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ひとしお
2018年11月10日 更新

先日、6歳のお子さんから、生活管理指導表の記載を求められました。

来年小学校に上がるので、小学生用の食物アレルギーの診断書をもらいにきたという訳です。

現在、除去しているのは、イクラとタラコ。アレルギー採血で陽性なのを、まだ負荷試験を行えておらず、現時点では除去と書かざるを得ないのです。昨日の書き方では、イクラとタラコを“サボっている”ということになりますかね?(汗)。

現在、6歳ですが、カルテの初診の頃を確認すると、0歳の時点でひどいアトピー性皮膚炎で受診されていました。いつも書いているように、皮膚から食べ物が入り食物アレルギーを引き起こします。アトピー性皮膚炎の湿疹の範囲が広く、程度も重いと、それに比例して食物アレルギーも悪化するようです。

私もうっかり忘れていたのですが、カルテのアレルギー採血を見てみると、初診時で卵白、ミルクがクラス3、4で結構高かったです。

普通、重症な食物アレルギーがあると覚えているものですが、ここ最近触れているように、緻密な作戦で卵も、乳も食べられるようになっていました。だから、覚えていなかったのです(笑)。

卵のクラス3程度は食べられて当然という感じですが、ミルクのクラス3、4は結構キツかったりします。それでも摂れるようになっていたのは、負荷試験を行った上で、早期から上手に食べさせていたからだと思います。

アレルギー採血が陽性だったのは、卵と乳、ピーナッツ、ソバ、イクラ、タラコ。卵も乳もピーナッツもソバも負荷試験で食べられることを確認しています。

しつこいようですが、“サボる”のはよくない訳です。6年前から、患者さんの食物アレルギーが治ることを願い、まともに取り組んでいたんだと感慨もひとしおです。

ただ、イクラとタラコだけが漏れていて、負荷試験が行えていませんでした。もちろん、家庭で食べさせるにはリスクを伴いますから、負荷試験を行う必要があります。ただ、6歳にもなると、ずっと除去しているものは、“食べられないもの”と心に刻まれている可能性があります。要は、気持ちで食べられなくなっています。

小学校にも上がるし、まずはタラコで負荷試験をしようと、おそるおそる提案しました。母も「負荷試験しなければ」という意識があったようです。ちなみに、タラコはクラス4だったかな?。結構高い値です。

先ほど言った理由で、「負荷試験なんてやりたくない」なんて言われるものと予想していたのですが、母の口から意外な言葉が聞かれました。

「ここでなら(タラコを)食べてもいい」と言ってくれているのだそうです。

当院は、強い症状を起こすような負荷試験はしないので、患者さんによっては、つらい思いをした経験があれば、「ここでは食べたなくない」と言うのかもしれませんが、当院での負荷試験に悪い印象はないんですね。やはり物心つく前から負荷試験をしているのも、よかったのかもしれません。

重症なアトピー性皮膚炎があれば、アレもコレも除去していますなんて感じなのですが、この患者さんはスマートに、上手に対応できていたようです。真面目に取り組んできてよかったなんて、普段は思わないのですが、今回はまあそれなりの対応ができていたんじゃないかなと思っています。