小児科 すこやかアレルギークリニック

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いき値が下がる
2018年12月12日 更新

先日、乳児で小麦を摂っていたのに、アナフィラキシーを起こしてしまった患者さんの話をしました。

上のお子さんがアトピー性皮膚炎と食物アレルギーがあるため、お子さんが生まれて間もなくから注意していました。

残念ながらアトピー性皮膚炎が出てきて、確か卵白は陽性になってしまいましたが、小麦はクラス0だったので、少しずつ食べるように指導していました。それでもうどんとして15gほどはコンスタントに食べていました。

ある日、パンを食べて、アナフィラキシーを起こしてしまいました。多分、普段食べていた小麦の量よりも多く摂ってしまったので、そういうことが起きてしまったのでしょう。

もっと小麦の量を摂っていれば良かったのかもしれませんが、全く食物アレルギーというのは油断も隙もあったものではありません。

アレルギー採血は小麦は以前は陰性だったものの、小麦もω5グリアジンもクラス2に上がっていました。私もそれなりに対処していたつもりですが、小麦アレルギーの方が一枚上手だったということでしょうか?(汗)。

前回も書いたように、専門医から「小麦は除去」という“有り難い言葉”をいただいたようですが、私はそうではないと考えています。

負荷試験をして、再度「これくらいなら安全に食べられる」という量を設定してあげなくてはなりません。ということで、負荷試験を行いました。

10gそこそこのところで、まぶたがちょっと腫れてきました。以前は15gは結構な頻度で食べていたそうですから、食べられる量のボーダーラインであるいき値は、下がっているようです。

食物アレルギーを予防するには、ある程度の量と食べる頻度がきっと大事なのでしょう。この患者さんで勉強させていただきました。

でも、この患者さんは少し前のアレルギー採血で小麦は0だった訳です。専門医であっても、「数値が0だから家で食べていいよ」と言ってしまうことでしょう。今回のように家でアナフィラキシーを起こしてしまうという事故は、起こり得ると思われます。

繰り返しになりますが、「本当に食物アレルギーは油断も隙もあったものじゃない!」、そう思います。