アトピー性皮膚炎のガイドラインの治療目標には、病気があっても日常生活が妨げられないような状態を目指すようなことが書かれています。
確かに慢性的な疾患なので、簡単に治るとか言うべきではないのかなと思っています。でも、早期発見・早期治療したらどうなるかとか、なかなか研究が進んでいないようです。
私の中では、「意外といけるのかも」という感覚があります。
先日、アトピー性皮膚炎で診ている患者さんに、皮膚の状態も安定してきたようだし、ステロイド軟膏の塗布は一旦止めにしませんか?と提案しました。保湿剤のみで何とかなるかもしれないと思ったのです。
カルテに目をやると、年齢は2歳少々でした。初診時はどうだったかなと、カルテを見てみると、生後3ヶ月でした。約2年前のことでした。
ご家族にアレルギーがあり、3ヶ月の時点でアトピー性皮膚炎があるであろうと判断していました。それ以来、2年のお付き合いということになります。
この時点で、多くの皮膚科医、小児科医が「はい、乳児湿疹ですね」と言い、過小診断・過小治療を繰り返し、湿疹が十分に改善することがないため、「経皮感作」から食物アレルギーが作られることは何度も書いていますよね?。
それは、このタイミングでは一番やってはいけない訳です。やはり、敵はアトピー性皮膚炎という治りづらい疾患が相手なので、当初はステロイド軟膏で“湿疹”をやっつけ、ぶり返さないように持っていかなければなりません。
きっと親御さんも、その「トンネル」がどれくらい続くのか不安もあったろうと思います。私自身にも、いつステロイド軟膏を中止できるかなんて分かりませんし…。
ただ、ステロイド軟膏を止めるという中長期的目標があるため、皮膚の状態を見ながら、戦略を練り、前に進んでいくことが肝心だと思っています。
実際、早めにステロイドを減らして、やや悪化することもあります。ただ、全身が一気に悪化することはまずないので、局所的に前の段階に戻り、安定させてからまた減らしていくこともあります。
ステロイド軟膏の減らし方は、一般論しかガイドラインには書かれておらず、多くの医師が苦労されていると思いますが、私には自分のやり方があって、意外といいのかもしれないと思っています。
その方法を経て、先日保湿剤のみで、ステロイド軟膏を塗らない状態とあいなりました。食物アレルギーも早期に対応していますので、確か食物アレルギーはなかったと思います。
巷に、こういう患者さんを増やしていけばいいんですよね?。それは間違いないと思います。
ただ、それにはアトピー性皮膚炎と食物アレルギーにそれなりに精通しており、早期から対応でき、逃げることなく、責任を持って経過を診れる医者でなければ、できないことだろうと思っています。
この辺は、研究が進んでおらず、多くの患者さんが“医療の進歩”の恩恵に預かれるようになるのは、相当先のことだろうと思っています。


