小児科 すこやかアレルギークリニック

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2018年12月20日 更新

先日、遠路から患者さんが新規受診されました。

症状は、園の給食を食べたあと、2時間くらいして吐き続けることが、これまで4回あったそうです。じんましんや咳が出ないため、医者に行けば胃腸炎と診断されるパターンです。

でも、園の先生だったか、栄養士さんは違いました。その4日に共通したことがないか、探って下さったのです。その4日の共通点は魚のアカウオを食べたというのです。

ここで疑問が湧きます。アカウオを10回食べたうちの4回なのか、4回食べての4回なのかということです。聞いてみると、後者の方でした。

アカウオは、今年の「すこやか健康フェア」の講師を務めて下さった島根大の千貫先生から教えていただきたのですが、魚が共通して持つアレルゲンを濃いめに含む魚なのだそうです。要は、魚アレルギーを起こしやすい魚なのだそうです。

それなのに、アレルギー採血にアカウオという項目がないので、多くのドクターが苦労していると思います。でも、今回は普通の食物アレルギーの即時型反応ではなく、「消化管アレルギー」のようです。

最近注目されている食物アレルギーのタイプで、食べてしばらく経ってから、嘔吐を繰り返し、皮膚や咳などの症状が起こさないというものです。消化器の症状しか出ないため、多くの医師が胃腸炎と診断しています。

そういう疾患が認知されてきて、報告例が増しているようです。イカやアサリが見られるようで、当院では子持ちシシャモやウズラの卵などもありますし、乳児だと卵でも起きます。

ですから、症状的にはアカウオによる消化管アレルギーを考えるべきです。魚によるものって、結構珍しいのではないかと思っています。

アレルギー採血は陰性のことが多く、何年も前に経験したイカもクラス0でしたが、念のために負荷試験をしてみると、何度も吐き、イカが原因であることを証明しました。

今回も、状況的にはそうなのですが、確定するには負荷試験をやるしかないと判断しました。また何度も吐かせてしまい申し訳なかったのですが、アカウオが原因であることを証明しました。

小児科医は、「線」でなく「点」としてみたがる傾向があるようです。繰り返し嘔吐で何回受診しても、その都度「胃腸炎でしょう」と言ったりします。今回のように食後2、3時間して嘔吐を繰り返せば、おかしいと感じなければなりません。

消化管アレルギー、見逃されているものがまだまだ結構あると思いますよ。