食物アレルギーの診断に食物負荷試験は不可欠とされます。
何を今更と思われるかもしれませんが、そんな当たり前のことをやっていない医療機関がいかに多いことか。というか、逆に負荷試験をやっていなくても、小児科だったり、アレルギー科を標榜していられ続けられることが不思議でなりません。
食物アレルギーは、赤ちゃんから大人まで発症するし、年々増えているとされますが、患者さんが適正に負荷試験を受けるだけの受け皿が足りていないことが大問題でしょう。
また負荷試験は、9歳未満といった年齢制限がありますし、年に2回までしか保険診療で認められていないという、変なルールがあります。10代でも食物アレルギーで困っている人はいるし、複数の食物アレルギーあれば、年に3回以上負荷試験が必要なこともあります。
外来診療で負荷試験が認められるようになって久しいですが、9歳未満、年2回以内という訳の分からないルールはいまだに健在です。水面下で日本の第一人者が動いてくれているのかもしれませんが、変なルールが変えられそうな雰囲気は感じられません。
変に制限をもうけると、口達者な医者が、危険な検査だから制限がもうけられているんだなんて、自分に都合のいいことを言ったりするかもしれません。是非とも、変なルールなんて撤廃していただきたいと思っています。
アレルギーを一生懸命やっていると、日本のルールが「本当にこれでいいのだろうか?」とか、「何やってんだか」なんて思うことが時々あります。
以前も取り上げた、4月の上旬に初診した、神奈川から転居されてきた患者さん。あれもこれも除去されていましたが、負荷試験は受けたことがありませんでした。でも、病院のホームページには実施していますなんてアピールしてあるんですよね、不思議なことに…。
先日も負荷試験をやりましたが、初診からもう4回目です。随分と解除も進んでいます。ちなみに、2回目までは保険診療で認められていますが、3回目と4回目は“ボランティア”です。それでも、近々5回目を予定しています。
有名な専門病院では、負荷試験を受けるのに4、5ヶ月待ちなんて聞きます。当院は、スケジュールをつけて、わずか1ヶ月で4回やっています。どちらが患者さんのためになることをやっているかは、言わずもがなですよね?。
不思議なのは、専門病院から開業医の道を選んだドクターもいるのに、前にいた病院の顔色を見ながら診療しているように見えること。専門病院から食物負荷試験に携わってきた医師が開業すれば、複数箇所で専門的な負荷試験が受けられることになるはずです。
そうすれば、専門病院も負担が減るはずなのに、さほど変わっているようには見えないのです。食物負荷試験を独占したい専門病院という思惑もありそうです。
いつになったら、食物負荷試験という検査が食物アレルギーで困っている患者さんの手元に降りてくるのだろうと思いながら、見ています。