アレルギーにこだわった診療をしていると、学会の動きが気になります。
ぜんそくについては、ここ最近新しい流れはないように思います。個人的には早期発見・早期治療を心掛けるべきというのがありますが、学会には目立った動きはないように思います。
食物アレルギーも、同様でしょうか?。学会では、負荷試験をして不必要な除去は避けるべきという何度も聞いたフレーズが繰り返されています。食べさせて治していく「経口免疫療法」もここ何年も研究中であり、専門病院がやるべきこととされ、私から見て目立った動きはないと思います。
最後にアトピー性皮膚炎。相変わらず、多くの小児科医、皮膚科医がよく考えもせず、“乳児湿疹”と診断し、過小診断・過小治療が繰り返されています。
2年前に、学会から「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」がなされました。アトピー性皮膚炎を早期に治療し、生後6ヶ月から少量の卵を継続的に食べさせるべきというものでした。
これは食物アレルギーの大きな流れではないかと言われてしまいそうですが、あくまで個人的な感想ですが、この提言を守っている医師は全国でどれくらいいるのだろうと感じています。
提言自体はすごく価値のあることだと思います。それは間違いないことなのですが、昨日も触れましたが、生後1、2ヶ月の湿疹の患者さんは有数の専門病院にまっすぐ行くことは非常に少ないと思われ、日本の第一人者の先生方であっても日々実践し慣れていることではないように思います。
そもそもアトピー性皮膚炎を早く見つける、アトピーをプロアクティブ治療でしっかりと治療するという先の提言のミソも、多くの医師がとっつきにくいように感じています。
アトピー性皮膚炎かどうか定かでないと思われる患者さんにステロイド軟膏をたっぷり塗るのに抵抗のある医者が多いでしょうし、プロアクティブ治療についても、明確な方法が知らされている訳でもありません。
具体的には、湿疹のある部位だけ塗るのか、そうでないのか?、どれだけの期間塗るべきなのか?、どうやって減量していくのか?など多くの医師が疑問に思っていることでしょう。
生後6ヶ月から食べさせることも大事なのですが、まずはアトピー性皮膚炎を封じ込めることがより重要と考えており、そこからして徹底されていないようです。
また、6ヶ月から卵白を食べさせることに多くの医師が不安を感じており、従来通り、「除去」と言っている医師が多いようです。
提言を守れば、卵アレルギーの発症予防ができるのですが、経皮感作を減らすため、実はミルクや小麦のアレルギーも予防できそうです。延いては日本の食物アレルギーを激減できるはずですが、提言を守れている医師が極めて少なく、宝の持ち腐れ状態になっているのではないでしょうか?。