今日は、学会でのことを書こうと思っていました。
やっぱり、診療であったことを書こうと思っています。昨日、1歳になったばかりの赤ちゃんが当院を受診されました。
生後1ヶ月くらいから顔に湿疹があったそうです。その頃から皮膚科に通っていたそうです。この辺りで、「アトピー性皮膚炎と診断されて治療しないとダメなのよね〜」と気付く方もいらっしゃると思います。
これは先日の学会でも言われていたことですが、「湿疹の治療」と「早期からのアレルゲン摂取」が食物アレルギー対策として必要とされます。
この湿疹の治療も、「湿疹ゼロ」を目指すプロアクティブ治療でないとダメなのですが、多くの小児科、皮膚科では弱すぎるステロイド軟膏を塗って、湿疹が良くなったら止めて、悪化したらまた塗るという方法を取っています。これだと「湿疹ゼロ」にはならないので、経皮感作を起こしやすいようです。
この患者さんは皮膚科に行っていました。皮膚科だと食物アレルギーの「しょ」の字も考えないことが多いようで、中途半端な状態が続いていたようです。
ある日、乳製品を取ってアレルギー症状を起こし、小児科を受診します。もうお気づきでしょう。「ミルクアレルギーを発症しちゃったのね」と。ミルクはクラス3だったかな。その小児科では、ためらうことなく乳の完全除去が指導されていました。
この地域の患者さんは、有り難いことに周囲が当院の受診を勧めてくださいます。当院を受診してくださっています。
私は全く逆のことを言いました。完全除去にしてはいけない、少しでも摂れるように負荷試験をしましょうと伝えました。
冒頭に言いました。「湿疹の治療」と「早期摂取」が大事だと。今回は、皮膚の治療が適切でなかったからこそ、経皮感作を起こしてしまったようだと考えています。また、乳で症状を起こしたとはいえ、完全除去と指導されています。これでは、“悪化に一直線”だろうと思います。
残念ながらこれが日本のアレルギー医療の現状です。学会での最新情報に関心もなく、湿疹をゼロにしようともせず、食物アレルギーを起こせば完全除去の指導。そして悪化に一直線…。
特に乳は、7年前の東京での給食での誤食で死亡事故を起こしている厄介なアレルゲンです。逆に、早期から摂らせていくべきでしょう。
いつになったら、多くの患者さんが医学に進歩の恩恵に預かれる日が訪れるのでしょうか?。