私は、いま幸せかな。
いきなり、変な書き出しです(笑)。食物アレルギーの変革の時代に現役の医師として、診療に携われるからです。
よく書いているのでご存知でしょうが、アトピー性皮膚炎の湿疹から経皮感作して食物アレルギーが起こります。であれば、アトピー性皮膚炎を早期に発見し、湿疹を治療すれば、食物アレルギーは減らせるのではないか?という考えが成り立ちます。
ただ、現在の日本ではアトピー性皮膚炎の診断は「2ヶ月間の経過観察」が必要です。慢性の経過を取っていることを確認しなければなりません。
ただ、生後1、2ヶ月の時点で間違いなくアトピー性皮膚炎だろうという患者さんに関しては、“2ヶ月の経過観察”が食物アレルギーの発生、アトピー自体の悪化を招く可能性があります。
そこは、「医師の裁量権」で親御さんに説明した上で、早期発見・早期治療を心掛けています。食物アレルギーの発生は確実に減らすことができることを立証しています。
話は変わりますが、弁護士も医師同様、「先生」と呼ばれる職業です。
弁護士さんは、新しい法律が発効すると、それを元に裁判が行われるため、最新情報を仕入れていないと話にならないし、弁護士さんは、誰でも全国レベルで仕事をされているのだろうと思います。
一方、同じく「先生」であるはずの医師は、例えばアレルギーで言えば、アレルギー採血の結果をみて、食べられるかもしれないのに「除去しなさい」と言ったりします。そこは学会も「食物負荷試験をやって、無駄な除去は減らしなさい」と言っているにも関わらず、負荷試験を実施していない医療機関も多いし、専門医に紹介しないこともかなり多く見受けられます。
食物アレルギーのガイドラインの方針とは、明らかに異なる診療をしていることが多いようです。医師は、弁護士さんの全国レベルの土俵で戦っていないことになりはしませんか?。
要するに、法律という全国的なルールで戦うのが弁護士、「オレはこれまで除去という方法をとってきた」とか「負荷試験は危険だからやらない」という自分の決めた“医院のルール”で戦う医師もいると言えるのではないでしょうか?。
「そんなことをやって許されるの?」とお思いかもしれません。最新のガイドラインには、ガイドラインが医師の裁量権を拘束するものではない、医療訴訟の際の判断基準にならないと書かれています。
弁護士さんと違って、医師は裁量権がとても大きいことが分かります。これでは、専門医の方針と非専門医の方針が大きく異なり、患者さんが疲弊するだけではないでしょうか?。どんなに最新のガイドラインを改定しても、日本の医療レベルは上がってこないと思われます。
アレルギーがこじれた状況で当院を受診され、「(前医を)信じていたのに…」と肩を落とす親御さんは少なくないのが現状です。医師の世界には、こんな暗黙の了解があるので、それを知った上で、今後どう医療と向き合っていくかを患者さんも考えなければならないのではないでしょうか?。