小児科 すこやかアレルギークリニック

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ほぼ100点
2019年07月05日 更新

先日、重症なアトピー性皮膚炎の赤ちゃんが当院を受診されました。

ご両親がアトピー性皮膚炎があるとなると、発症を避けることは難しいと思われます。しかもステロイド軟膏は使いたくないというお考えをお持ちのようでした。

言葉は悪いですが、多くの小児科、皮膚科が面倒臭がるケースです。ステロイド軟膏を使いこなせる小児科医、皮膚科医はほとんどいないと思います。

それが証拠に、ステロイド軟膏を“できるだけ薄く塗る”とか“良くなったら、保湿剤に切り替える”とかいう医師は特に小児科医に多いはずです。この世にアトピー性皮膚炎の治療として、そんな塗り方は存在しません。

アトピー性皮膚炎は、慢性的な炎症性の皮膚の病気であり、多くの方が先ほどの塗り方をすると、塗っているときは確かに良くなるが、止めると悪化することを経験しているはずです。

親御さんは、お医者さんが間違ったことをするはずがないと考えていて、「うちの子の湿疹が重いからだ」と考えがちですが、そもそも先ほど述べた通り、そんなに塗り方はないのです。いや、一番やってはいけない“塗り方”だと思います。

しかも、薬がキンダベートなど極めて弱い薬が出されていることが多いようです。要するに、医者がおっかなびっくり治療しているという形です。

アトピー性皮膚炎にステロイド軟膏を塗ること自体は間違いではないし、良くなったら減らすことも間違いではありません。何がダメかというと、すぐにぶり返さないように、「こてんぱんにやっつける」ことが大事なのです。しかも、少し強めのステロイド軟膏を広く塗ることがポイントです。

湿疹を一気に消し去り、皮膚を高値安定にして、ゆっくりステロイド軟膏を減らしていく治療が「プロアクティブ治療」と言われる方法です。アトピーにはこの方法が推奨されていますが、本当に実践できている小児科、皮膚科はあまりないようです。

冒頭の赤ちゃんですが、ステロイド軟膏を使いたくないとおっしゃいます。まず、現在のステロイド軟膏の使い方を説明し、アトピー性皮膚炎を皮膚の問題と考える人が多いですが、実は食物アレルギーにも直結していることをお話ししました。食物アレルギーまで起きてしまうことは、避けたいようでした。

ご両親ともにアトピーがあり、ステロイドについて時間をかけて説明し、お互い戒めあってくださいとも話しました。つまり、皮膚がキレイになってもステロイドを塗り続けることに抵抗が出てくるかもしれません。つい塗り方を減らしたり、塗るのを止めると、再悪化してしまうのです。そこは2人でプロアクティブ治療を続けられるようにコントロールしてくださいと言いました。

初診時、かなり重症のアトピー性皮膚炎と判断しました。皮膚がごわごわ乾燥しており、全身くまなくそんな皮膚でした。専門医であれば、入院を勧めるくらいの状況だったと思います。

先日、1週間後に再診をお願いしていたため、受診されました。もうほぼ100点です。先週の湿疹がウソのように、どこからどう見ても普通の赤ちゃんでした。私の言ったことがちゃんと伝わっていてよかったと思いました。

それは諸手を挙げて喜びたいのですが、1つ課題が…。卵、乳、大豆、小麦がどれも陽性化していました。食物アレルギーに傾いていたのです。特に卵白はクラス5だったかな。

多くの医師が除去なんて言うでしょうが、それもやってはいけないことです。アレルギーの世界は、結構逆のことをやる医者が多いようです。

こちらとしては、皮膚をさらに安定させ、負荷試験で少しでも食べられるように進んでいくだけです。

よく重症なアトピーをみると、「皮膚科に行って」という小児科医が多いですが、食物アレルギーも同時並行に対応する必要があり、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの両方治療できる小児科医がベストでしょう。

こういう小児科医は、いつになったら育成されてくるのでしょうか?。