今月の学会発表の準備をしています。
いつもスライド作りは非常に遅いのです(汗)。日々診療は真面目にしているつもりなので、直前にならないとチカラが出ないんです…。
ある期間にアトピー性皮膚炎と思われる湿疹で当院を受診した乳児の経過を追ったものです。こんな状況で卵アレルギーが8割起こるなんてデータもあり、高率に卵の経皮感作が起こるはずです。
経過を追ってみると、卵の感作を受けた赤ちゃんが結構な割合でいらっしゃいました。クラス2以上を陽性と判断していますので、クラス2と3と4に上がっていました。採血のタイミングによりますが、陽性になったタイミングは最速で生後2ヶ月、遅くても生後10ヶ月でした。平均にすると、生後6ヶ月でした。
患者さんは、場合によっては“湿疹”の原因は卵だとか説明されたり、卵アレルギーがあるから、除去しなさいと言われてしまうと思います。
当院では、全例に対し卵の負荷試験を行います。生後6ヶ月から卵黄、1歳近くで卵クッキー、その後カステラ、卵焼きと負荷試験をしています。
現在、対象の患者さん達は1から2歳ですが、過半数が卵焼きを食べています。カステラという卵を多く含む加工品を食べているのが8割弱でした。そして何より、完全除去している人は一人もいませんでした。
どうです、積極的に食べさせるって素晴らしいと思いませんか?。私の印象では、全例卵アレルギーを克服できると考えています。
なお、ミルクと小麦が陽性の赤ちゃんも少ないながらいました。ミルクがクラス2、小麦はクラス2と3でした。こんな患者さんに対しても、0歳のうちに負荷試験を行い、摂らせようとしています。
ミルクは、二人が50ml飲めることを確認しており、残りは普通に摂取しています。小麦も、陽性者はすべてうどんを100g食べられるという結果が得られています。乳も小麦も治ってしまいそうですね。
ということで、卵、乳、小麦の陽性の患者さんに対し、誰一人として完全除去はしておりません。現在、低年齢でかかりつけ医から除去と言われている患者さんは、私と同じような方針で取り組んでいる専門医のもとへお急ぎください。若いうちに摂らせることの“論より証拠”がお分かりいただけたと思います。