小児科 すこやかアレルギークリニック

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“とりあえず”もない
2019年07月24日 更新

昨年秋に新潟市から食物アレルギーの相談に来られた患者さんがいました。

全員共通ですが、湿疹があって「経皮感作」を引き起こしていました。まず生後9ヶ月の時に卵を食べ、12ヶ月の時に乳を摂り、アレルギー症状を起こしています。

当院でのアレルギー採血の結果は、卵白5、ミルク3、オボムコイド5でした。それを受け、卵も乳もかかりつけ医から除去されていました。

知り合いから当院の受診を勧められたそうです。新潟市からは100キロ以上離れているため、普通は受診しようという選択肢はなかなかないと思われ、親御さんの勇気に感激です。私としては、期待を裏切らないよう、全力を尽くすだけです。

世の中の医師は、卵も乳も実際に食べて症状を起こしており、しかも卵白もミルクも高値で除去と言ってしまうことでしょう。

時々この場で強調していますが、「完全除去にはしない」、「できるだけ若いうちに食べさせる」ということが食物アレルギーの「極意」だと思っています。この患者さんは1歳になったばかり。“できるだけ若いうちに”となると、今しかないのです。

卵は卵クッキー、乳はミルクで負荷試験をやりました。実際に症状を起こしていますので、負荷量を見誤れば、ただ症状を起こすだけという不毛なことを繰り返すだけです。
まあ、少ない量を確実に摂らせるということがポイントでしょう。

数ヶ月後には、卵はカステラ、乳はもっと多い寮の牛乳で負荷をし、カステラ1切れ、牛乳は100ml摂れることが分かりました。負荷試験結果を受けて、こちらが指定した量を日頃から摂っていただくことにしました。

そして5月に卵焼き1個、7月に牛乳200mlで負荷試験をし、クリアしています。当院にかかり始めて10ヶ月後のことです。

似たようなケースでは、専門医も含めて「“とりあえず”除去しましょう」というと思います。いやいや、“とりあえず”も何もありません。除去してはいけないのです。

昨日言い方の続きをすれば、「2人目を救った」ということになるのでしょうが、私はもっと日本国内で食物アレルギーで困っている方々にこれを伝えたいのです。

食物アレルギーの「除去」という指導は、何を生むのでしょうか?。