先日の学会で日本の第一人者の先生の話を聞く機会がありました。
それを聞いての感想は、まだまだ課題が多いなと感じました。あまり新しいと思える話もなかったような…。
食物アレルギーは、血液検査で食品に対する抗体が陽性であっても食べられることがあり、負荷試験が必要と言います。当然ですよね?。しかし、世の中、食物アレルギーのガイドラインを順守している医師は多くはありません。本来なら負荷試験をしなければならないのに、除去を指示されているケースは多々あります。
要するに、食物アレルギーの頻度の話になっても、世間的には負荷試験をやった上で、そう診断されているケースは少ないのが現状でしょう。負荷試験をした上で、食物アレルギーと診断されていることもあれば、抗体価だけで判断されていることもあり、かえってこちらの方が多い訳です。こう言っては失礼ですが、そんな不確かな集計で食物アレルギーが増えていると話しています。
確かに全国規模のアレルギーの集計ってそう簡単にできる訳ではないでしょうが、最新のデータが平成25年だったりします。もう6年も経っています。
よく学会でも使われるデータは、同様な手法で調査されたものを新旧で比較してみると、確かに急増しています。それに基づき、食物アレルギーは増えているとされるようです。
しかし、保護者への調査であり、きっと多くは負荷試験も受けていないであろうものです。しかも、平成24年に東京での食物アレルギーの誤食死亡事故があり、その翌年に実施されています。当時は、死亡事故の直後の調査だったため、食物アレルギーに対し、曖昧だった人が急に手を挙げたという考察もあったくらいです。
もう少し明快で、それこそエビデンス(根拠)のあるデータを待っているのですが、なかなか出てこないようです。
卵や乳、小麦は日常食べる食材に含まれていることが多く、負荷試験をやっている医療機関では負荷試験対照になっていることが多いでしょうが、ピーナッツやソバ、魚介類となると負荷試験の実施率も相当落ちると思われます。
キチンと負荷試験を行っている患者さんは極めて少ないと思われ、日本の食物アレルギーの動向と言われても、まだまだ不確かな部分も大きいと思われます。
また、食物アレルギーと診断されると、完全除去されることがまだ多いと思われます。たまに書いていますが、除去することが本当に治癒につながっていくのでしょうか?。治ることもあるのかもしれませんが、除去を必死に続けている重症者ほど、治りが悪い気がするのは、私だけではないはずです。
除去しているつもりでも、加工品に含まれていて、食べ続けることで、食べられるようになっている可能性すら結構あると考えています。
除去して治るかどうも答えがなく、医師の指導も様々で、完全除去していたり、食べられるものは食べる人もいます。医師が様々な指導をして、それを受け取る患者さんも様々な訳です。
その結果として、食物アレルギーの頻度がと言われても、何だか捉えようがないというのが私の思いです。
開業医は負荷試験はやってはいけないとくらいにいう専門医もいるようで、専門施設に紹介してくださいと言っています。ちゃんと紹介する医師は非常に少ないのが現実で、私はリスクの少ない負荷試験の方法を開業医にも広めていくべきと考えていますが、学会幹部はそうは考えていないようです。
正直、食物アレルギーの頻度をとってみても、迷走している感があると言われても仕方ないと感じています。