食物アレルギーの新しい時代を切り開いたのは、イギリス人のラック先生でしょう。
イギリスでも食物アレルギーが問題になっていて、ピーナッツアレルギーが命に関わることもあり、その原因が究明されてきました。そのことを解明した先生がラック先生です。
ピーナッツアレルギーが起こるのは、湿疹があり、乳児期にピーナッツオイルを含んだ保湿剤を使用していたことがピーナッツアレルギー発症に非常に関係していることに気づいたラック先生は、皮膚から食べ物が入るのではないか?と気づきます。
口から入るものは「寛容」し、皮膚から入るものは“敵”とみなし、「免疫」を作る。当時は誰も考えていなかっただけに、素晴らしい洞察力だと思います。
小児科医になりたての頃は、先輩医師のやり方を真似ていた訳ですが、私自身も「除去」と言っていました。いま思えば、そう言ってしまった患者さんに申し訳なく思っています。
日本の第一人者さえ、そう指導していた時代ですから、どうしようもなかったとは言え、心が痛みます。
食物アレルギーが新時代に入ったいまは、同じ過ちを繰り返さないよう、除去はしないようにするという方針を貫きたいと思っています。