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慣習
2019年08月17日 更新

休み明け、早速に食物負荷試験を行いました。

食べられた子、軽いながら症状の出た子など、悲喜こもごもという感じです。それについては次回にでも触れようと思います。

さて、医学の世界は、最近はエビデンスが重視されています。

エビデンスとは、科学的根拠のこと。医師は“匠の技”など経験や勘も大事だと思いますが、意外にもこれまで当たり前とされていたことが、実は医学的根拠に乏しかったと分かり、治療が大きく変わるなんてことはたまにあります。

例えば、過呼吸で具合が悪くなった患者さんに紙袋を口にあて、呼吸させるなんて方法も以前はやられていましたが、今ではかえって危険ということが分かり、やられなくなりました。私が医師になった頃は、当然のように行われていたことです。

“やってはいけないこと”を以前は平気でやっていたという訳です。私の25年以上の医師人生の中で、こんなことはたまに経験しています。

現在の医学に当てはめて、慣習的に行われてきたことであっても、ブラッシュアップする姿勢は重要なことだと思います。

しかし、ブラッシュアップすべきなのに、されていないことも残っているように感じています。

例えば、水イボ。小児皮膚科学会では水イボは少ないうちに、痛み止めの薬を使って取り除くことが推奨されていますが、実際にやっている小児科医、皮膚科医は5%もいないようです。

結局、先輩医師が「様子を見ると水イボが消えてしまうこともあるから、取らない」と若手を指導することで、「ああ、取らなくていいんだ」と受け入れてしまい、なかなか取るという治療方針が広まらないようです。

医療は、エビデンスを重視すべきなんて言われていますが、エビデンスよりも従来の慣習が優先されているように思います。

全く同じことが言えるのが、食物負荷試験。ガイドラインでも負荷試験を行い、必要最小限の除去にすべきとされていますが、開業医も含め、負荷試験をやっているのは、新潟県内で見てみても、5%もいないようです。

患者さんのためにも、もう少しエビデンスのある医療が広まって欲しいのですが、いまだに慣習が、根拠のある医療の普及を邪魔しているように思います。