現在、学会では話題の中心は食物アレルギーです。
以前は、ぜんそくの話題が多かったのですが、今はほとんどが食物アレルギーです。自慢じゃないですが、私はこのブーム(?)のかなり以前から食物アレルギーに注目していました。
平成13年からですので、まもなく20年経とうかいうところです。新潟県は専門的医療をやっている医師がほとんどいなかったので、自分でどうしたら食べさせられるか?、どうしたら完全除去にしなくても済むか?などと悩みながら、診療を続けてきました。
そして編み出したのが、早期から少量を食べさせていくというものです。成育医療研究センターが発表したプチスタディの後押しもありますが、5歳より4歳、4歳より3歳、3歳より2歳、2歳より1歳、1歳より0歳。これは間違いないと確信を持っています。
学会は、食物負荷試験なしに食物アレルギー診療はできないと言っています。ただ、アナフィラキシーを起こす可能性があり、慎重に行うべきだと言っています。負荷試験の目安として、プロバビリティカーブを用いるようにとも言っています。
卵白のプロバビリティカーブを示します(画像)。ご存知の方も多いでしょうが、卵白がクラス4だった場合、隣に抗体価が30.0とか書かれています。カーブは年齢別に青、赤、緑色となっていますが、抗体価が30.0ですと、症状誘発の可能性が95%くらいでしょうか?。
私は、卵を少なく含む加工品を用いた負荷試験を行っています。実は、プロバビリティカーブがこの世に出たもっと前から加工品の負荷試験をやっていました。つまり、プロバビリティカーブを使う習慣がないのです。
世の中が、食物アレルギーの診療に注目が浴びた頃から、このカーブを参考に診療していこうとなりましたから、プロバビリティカーブを基準にして食べられるかどうかの判断をしている医師は、とても多いものと思われます。
例えば、抗体価が30.0だと、95%食べられないことを示していますので、負荷試験をやっていない医師も「負荷試験どころじゃない」とか、「専門施設に紹介する意味がない」と考えがちなのだろうと思います。
しかも、95%食べられないと予想しているのは、卵焼きなどの卵料理であって、卵クッキーなどの加工品ではありません。
プロバビリティカーブを重視し過ぎると、過剰に除去の方向に傾くような気がしてなりません。
