他院で湿疹の治療をしていて、アレルギー採血をされることがあります。
湿疹の治らない原因を探るためと思われます。昔からそうされていて、卵やミルクが陽性になっていると、卵やミルクの除去を指導されることもあると思われます。
まだ離乳食前の乳児ですと、母の摂った卵やミルクが母乳経由で赤ちゃんの体に入ってしまうため、母にも卵や乳製品を除去してもらうこともありました。
イギリスのラック先生が、「経皮感作」を提唱し、皮膚から入るものがアレルギーを引き起こし、口から入るものは治る方向に作用すると言っても、湿疹の原因を食べ物に求め、湿疹の治りが悪い時にアレルギー採血をする小児科医が多いように思います。
食物アレルギーの世界では、劇的なことが起こっているのに、ずっと以前からのやり方を踏襲している医師が多いんだろうと思います。
湿疹のよくならない理由が、卵やミルクを摂ることにあるケースはまず経験しません。これはステロイド軟膏の副作用を恐れるあまり、有効なステロイド軟膏を選択していなかったり、もしくは塗ってよくなってら、すぐに塗るのをやめてしまう“塗り方”に問題があるようです。
逆に、口の周りの湿疹などは、赤ちゃんはよだれを垂らしたり、食べこぼしが口周囲の付着するので、お母さんはしょっちゅう口の周りを拭いています。これでは湿疹が良くなるはずもないのです。
ステロイド軟膏を変更せずに、塗り方を変えると、1週間後にはツルツルになったりします。さらにアレルギー採血でも、高かった卵白やミルクの数値が低下することも少なくありません。
アトピー性皮膚炎治療からつまづき、その原因を食物に求めるケースが多いのは、過去の治療からの方向転換がうまくできていないからだろうと思います。
そろそろ多くの医師が、卵やミルクが上がるのは、原因ではなく結果であると認識して欲しいと思っています。
“湿疹”があれば、6から8割は卵アレルギーに傾きます。私は早めに採血するようにしています。卵の数値が上がっていることに気づかず、離乳食として親御さんが与えた卵でアレルギー症状を起こすのを避けたいからです。
離乳食前に陽性に気づけば、生後6ヶ月以降に負荷試験をして、食べさせていけば、卵アレルギーを発症させずに済むことも多々あります。
食物アレルギーを防ぎたいと思えば、時代遅れの対応では間に合わないのではないでしょうか?。