小児科 すこやかアレルギークリニック

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課題が多い
2019年10月03日 更新

昨日も講演会でした。

水曜の午後は、積極的に院外活動を行なっているつもりです。昨日は、開院まもない頃、当院の院内勉強会に参加したことがあるという方がいらっしゃいました。

今は院内勉強会はやっていません。結局ネットで告知しても、参加人数はたかが知れていて、であれば、こちらから出掛けてやった方がいいだろうと考えたのです。

エピペンを持っているような園児、児童の通う園・学校に直接出向き、病状説明とともに、エピペンの使い方を指導するというものでした。もう8年くらい前からやっていましたので、だいぶ時代をリードしてように思います。

日本の第一人者は、時間がなくて、個々の園・学校には行くヒマもないでしょうし、他の医師はそこまでの情熱もないでしょうし…。いまだに、地道な活動を続けている訳です。

当時に比べれば、私の話すことも変わってきたように思います。一般的な研修会であれば、食物アレルギーは死ぬ可能性があるので、誤食はさせないように。万が一誤食があれば、このタイミングでエピペンを打ってくださいという流れでしょう。

私は、治せるものは治しましょうという話をしています。小学生くらいになっても治らない卵、乳、小麦アレルギーは、結構重症だったりします。でも、軽症や中等症くらいなら、食べていけば治る可能性はあると考えています。やっぱり食物アレルギーの治療の基本は食べることですから。

あと、多くの医師が避けているピーナッツ、ソバ、甲殻類の負荷試験ですが、当院のデータでは、アレルギー採血が陽性であっても、結構食べられるケースもあります。ということは、食物アレルギーがあると周囲が思って、必死に除去しているだけだったりします。これは非常に効率が悪いですよね。

日本は世界のどの国よりも、負荷試験を受けられる医療機関が多いと言います。確かに卵や乳の負荷試験はやっているのかもしれませんが、ピーナッツやソバなどの負荷試験は避けているところがかなり多いように感じます。

でも、実際食べさせてみると、かなり食べられます。ということは、園・学校関係者の方々はまだまだ無駄な除去にエネルギーを注いでいることになると思います。

本当にアナフィラキシーを起こし得る食品に対し、一生懸命除去して欲しいのですが、これではあれもこれも除去になって、よりピントの合った対応ができなくなります。

確かに負荷試験をやってくれる医療機関は増えたかもしれません。でも、私から言わせれば、まだまだです。逆に卵などの負荷試験をちょっとやっているくらいで、「当院は負荷試験をやっています」なんて言って欲しくないですね。

学会は、各地に拠点病院を作って負荷試験を広める構えのようですが、あれもこれもでは対処しきれないでしょう。日本の食物アレルギー診療はまだまだ課題が多い。そういうことでしょう。