「ゼロレベル作戦」と検索してみてください。
そうすると、「小児ぜんそくの最新治療」という本がヒットすると思います。20世紀に発刊された本の紹介にはこう書かれています。
「小児ぜんそくは「がまんする」治療から「予防する」治療へと大きく変わった。ぜんそくを悪化させるのは発作そのもの。軽い症状のときから、くすりできちんと予防し、とにかく発作を防止する。その結果、気道の過敏性は改善され、飛躍的に治癒することが実証された。」
20年以上前に書かれた本ですが、結構いいことが書かれているように思います。ぜんそくという発作を起こし、苦しくなる病気を体質として持っている訳ですから、そうならないようにすればいいのです。
ぜんそく発作を起こせば、ひどく咳き込んだり、苦しくなったり、夜間眠れなくなります。そうならないように予防のための治療を継続すれば、治る方向に持っていけると書かれています。
いまだに予防的治療をやっていない医師もいますので、20年以上も遅れたことをやっているにもかかわらず、そこに通う患者さんは、医師を信じ、最良の治療をやってもらっているものと信じています。
アトピー性皮膚炎もまた痒くて、辛い病気です。先ほどのぜんそくの本の要旨の部分を、アトピー性皮膚炎に置き換えて、読んでみてください。
アトピー性皮膚炎を軽症のうちから、ステロイド軟膏を徹底的に使い、「ゼロレベル作戦」を実行しようとなります。まさに、私の考えるアトピー性皮膚炎に求められる治療です。
アトピー性皮膚炎が軽症だと、多くの小児科医、皮膚科医は“乳児湿疹”だと言います。そしてキンダベートなどの効果の薄いステロイド軟膏を薄く塗るように指導します。そして数日で多少の改善が見られたら、塗るのを止めるように指導されることが多いようです。
当院に来られる患者さんがよくおっしゃいます。医師からもらった軟膏を塗るとよくなるが、止めると悪化すると。これは「ゼロレベル作戦」を実践していない証拠です。ぜんそくならば、すぐに治療を止めてはぜんそく発作を起こし、吸入や点滴をされて、また発作を起こして…と同じことです。
ぜんそくを持つ患者さんに対し、予防的治療をすることで、ぜんそく発作を起こさない、安心して生活できる日々を送ってもらうことが医師の務めだと思います。アトピー性皮膚炎も同じはずです。しかし、多くの小児科医、皮膚科医がこれを実践せず、中途半端なことをやっているように思います。
小児科医、皮膚科医ならば、ステロイド軟膏をよく知り、使いこなせなければなりませんが、ほとんどの医師がステロイドの副作用を恐れ、「ゼロレベル作戦」を行なっていないことが、日本のアトピー性皮膚炎治療の問題点だろうと考えています。
私が感じるのは、比率にして99%以上と思われます。ぜんそくよりも、食物アレルギーよりもその比率が高いと思います。アトピー性皮膚炎は、アレルギー疾患の入り口を考えられるようになってきています。
肝心の入り口への対応がこれでは、ハッキリ言ってダメなのではないでしょうか?。アレルギーの最大の誤解と言ってもいいように感じています。