昨日、アトピー性皮膚炎に関するゼロレベル作戦の話をしました。
実際にどうやって?と思う方もいらっしゃると思います。ぜんそくの場合は、内服や吸入を日々継続的に行い、発作を起こさないようなクセをつけるイメージです。
繰り返しぜんそく発作を起こせば、起こしやすいクセがつくという言い方も当てはまると思います。ぜんそくの場合、「気道過敏性」といって、気管支の発作の起こしやすさが重要ですが、発作を繰り返すと、気道過敏性がより悪化して、発作をさらに起こしやすくなるという格好です。
アトピー性皮膚炎もそっくりだと思っています。掻いて悪くなって、悪くなってまた掻いて…の繰り返し。「皮膚過敏性」という言葉はないですが、作ってもいいくらい。
結局、ぜんそくもアトピーも慢性の治りづらい病気です。風邪や胃腸炎などと違い、自然治癒力も期待できない。継続的に治療して、症状を積極的に抑え込み、気道過敏性や“皮膚過敏性”と衰えさせることが重要です。そのためには、安定した気管支や皮膚を保ち続けることでしょう。
アトピー性皮膚炎は本当に厄介です。それを力ずくでよくするためには、ステロイド軟膏をベッタリ、シッカリ塗り続けることでしょう。多くの医師が言う、「薄く塗る」とか「よくなったらすぐ止める」という選択肢はありません。湿疹のない状態を継続し、掻かないクセをつけるようにしたいということです。
現在、リアクティブ療法とプロアクティブ療法の二つが言われていますが、いま言ったやり方がプロアクティブ療法の方です。リアクティブ療法と名前はついていますが、中途半端と感じており、推奨はされていません。
図を示します。リアクティブ療法は、常に湿疹が残るイメージで、プロアクティブ療法だと湿疹のない状態を継続しています。そうやって軟膏の塗る量や回数を減らしていくわけです。
口で言うのは簡単で、実際はすべての患者さんに適応することは難しいと実感していますが、アトピー性皮膚炎がこじれる前に、早期発見できれば、プロアクティブ療法により治る可能性はあると考えています。
この治療法、学会は推奨しているにもかかわらず、多くの医師が行なっておらず、多くの患者さんも知らないし、実践もされていないのが現状だと思っています。アレルギーの分野で、大きな問題なのだろうと考えています。
