私も指摘していることですが、厄介なのは“乳児湿疹”という診断名です。
乳児が湿疹が出て、心配で医者にかかると、だいたい「乳児湿疹ですね」と言われます。多分、「乳児湿疹」にはアトピー性皮膚炎や新生児ニキビ、脂漏性湿疹などが含まれると思われます。
実に、中途半端な、私からすれば不誠実な診断名である訳です。ぶっちゃけ、医師があまりよく考えいないというか、真面目に診断しようとしていないから、そういう言い方になってしまうのだろうと思います。
私は、アトピー性皮膚炎の湿疹から食べ物が入り、経皮感作を起こしてしまうことを心配して、卵の感作が生後3ヶ月から湿疹のある乳児の4、5人に1人の割合で生じることを突き止めました。
となると、生後1、2ヶ月の時点で湿疹に対し、何らかのアプローチが必要になることが分かります。生後1、2ヶ月の時点で湿疹がアトピー性皮膚炎かどうを見極めなければなりません。
日曜の学会でも、成育の大矢先生が医師から乳児湿疹と診断されると、患者側は「アトピー性皮膚炎じゃなくてよかった」と捉えることを指摘されていました。
もはや、日本に長らく存在する“乳児湿疹”という診断名が、食物アレルギーを引き起こしていると言ってもいいのではないでしょうか?。
私から言わせれば、そこがこだわりのない医師のいい加減さなんだろうと思っています。だって“乳児湿疹”がよくならなくても、テキトーなことを言って同じ薬を出し続ける医者って多いじゃないですか?。
あれは、舐めきった診断をして、弱すぎるステロイド軟膏を処方しているからです。よくならなくても、「この湿疹はアトピーではないか?」とか見直すこともほとんどしていないようです。
私の考えでは、生後6ヶ月くらいには卵が上がってくることが多く、生後6ヶ月前の時点でアトピー性皮膚炎かどうか見極め、そうならアトピー性皮膚炎に対し、プロアクティブ治療をやっていくべきですが、そうしていない小児科医、皮膚科医が多すぎると思います。
私は、“乳児湿疹”という診断名は一切使っていないし、使う必要性も感じていません。いま、多くの医師達が使う“乳児湿疹”という言葉を見直す時期に来ていると考えています。