今年の6月下旬、新潟県内の某市から赤ちゃんが受診されました。
アレルギー科を“標榜”する小児科医にかかっていました。生後6ヶ月の時に湿疹がなかなか治らないため、そこでアレルギー採血をやった際、卵白4、オボムコイド0、ミルク3だったそうです。
医師から1歳まで「除去」と言われ、「負荷試験をやろう」なんて言われていたようです。1歳の時点で再検し、卵白5、オボムコイド、5、ミルク5となり、負荷試験は延期、アレルギー再検は半年後にやりましょうと指導されました。
さすがに疑問を感じ、90キロ離れた当院を受診されています。この指導をどう思われますか?。
この医師は、アレルギー科を標榜していますが、専門医ではなく、負荷試験もほとんどされていません。ただ、全国の小児科医のレベルからすると、標準的でしょうか?。
良心的な医師なら、1歳の時点で専門医に紹介します。もっと良心的なら、生後6ヶ月の時点で紹介しているのだろうと思います。
全国的にそうだと思うのですが、心臓や神経の病気だと専門医に紹介するのに、アレルギーは「オレでも診られる」と考える小児科医が多く、このように無計画に引っ張る医者が多いように思います。
さて、私ならどうするか?。
生後6ヶ月の時点で卵とミルクの負荷試験をやるでしょうね。特に卵はオボムコイドという加熱卵白が陰性なので、食べさせるやすいのかなと考えるし、小児アレルギー学会も、生後6ヶ月から少量から食べさせることを推奨しています。
にも関わらず、ガイドラインという標準治療などは無視して、「除去、除去」という医師はいまだに多いのです。食物アレルギーは、アレルギーの数値が高いほど、症状を誘発しやすいですが、生後6ヶ月から1歳の間にオボムコイドが0から5に急上昇しています。
この医師の言うことが正しければ、数値が除去により下がってもいいのに、より食べられなくなり、さらに半年除去と言われています。
まるで“除去地獄”。1歳を過ぎるといろんなものが口に入るので、親御さんは必死に卵と乳の除去を続け、気の休まらない状況が続いています。
どうでしょう?。敢えて言えば、医師の言うことって、結構あてにならないなと思いませんか?。
お偉いさん(学会)が少量から食べさせることを推奨しているのに、独自路線をつらぬき、ただ除去が続き、さらに悪化させ、食べられないようにするつもりなのでしょうか?。
治してあげたいという気持ちが少しでもあれば、専門医に紹介していたことでしょうが、そんな気持ちも感じられません。
こんな指導が全国でまかり通っているものと思われます。患者さんには、食べる権利があるはずですが、医師の不勉強により奪われ、より悪化させられている。
医師の言うことは、鵜呑みにしないことが重要という結論にならざるを得ません。