小児科 すこやかアレルギークリニック

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期待に応える
2019年11月14日 更新

水曜午後の休診を利用し、院外活動を行なっています。

その一環で、来週水曜(20日)も休診になります。よろしくお願いいたします。

昨日もある街に講演に行っていました。結構離れた街ですが、私が専門的に取り組んでいるのをご存知のようで、毎年声を掛けてくださいます。こちらも期待に応えるべく、努力せねばと思っています。

今回、行政は大変だなと思いました。どういうことかと言いますと、この春、厚労省から「授乳・離乳の支援ガイド」が出されました。このポイントは、母乳にはアレルギーの予防効果はないと明記されていることです。

世の中、母乳が十分に出れば、完全母乳で育てたいというお母さんは大勢いると思います。アレルギーを心配する親御さんは少なくなく、これまで完全母乳はアレルギーを抑えるという期待もあるためだと思われます。

しかも、生後14日以内にミルクを開始すると、牛乳アレルギーが減るという報告さえもあります。言わば、“完全母乳至上主義”がアレルギーに関しては、有効とは言えないことが示されたのです。

保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導票には、食物アレルギーの病型として消化管アレルギーの記載もあります。まだご存知でない方も多く、以前も書いたことがありますが、医師でも食後2時間で嘔吐を繰り返すこの病気を“胃腸炎”と診断しているくらいです。

更に、離乳食でアレルゲンを遅く摂れば、食物アレルギーのリスクになると言われています。卵の開始時期もどんどん遅れてきて、それが卵アレルギーの減らない理由になっているようです。最近は、卵の開始時期を早めようとされてきています。

当院では、卵白が検査陽性の卵アレルギーの可能性の高い患者さんに対し、生後6ヶ月から負荷試験をして食べてもらっています。やはり食べることで、治りやすいという強い印象があります。

昨日はそんなデータも盛り込み、その市の期待に応えるべく、話をしてきました。行政は、国の推奨する最新の動きに合わせていかなければならないのに、医療現場は、例えば医師、保健師などは従来の指導を繰り返すことが多いようです。現場がついていけていないものを、国の推奨する方向に変えていくことも仕事のひとつだと感じたからです。

要は、医療の現場は「保守的」なのに、行政は国の方針が変われば、「革新的」にしないといけない訳です。これはなかなか変わらないでしょう。

でも、当院の取り組みで、早く食べさせれば、卵も乳も小麦もかなり治ります。自信を持って、国の推奨する方法をその市内に広めていただきたいと思っています。

惜しむらくは、私の地元の市ではこういう相談が私にはないこと。私の昨日出かけた市の後塵を拝してしまう恐れがあります。残念だな〜。