小児科 すこやかアレルギークリニック

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新しいパターン
2019年12月06日 更新

先日、かなり驚いたことがあります。

東京から数ヶ月前に転居されて、こちらの小児科や皮膚科の他院にかかっていたようです。

いつも言っていますが、日本の医師はぜんそくやアトピー性皮膚炎の診断ができていないことがあまりにも多いようです。お約束ですが、“風邪”とか“乳児湿疹”と診断されています。

この患者さんは、東京と私の地元の何軒もの小児科、皮膚科にかかっていました。そのどれもがアレルギーの診断もできず、その結果、治療も間違えてしまっています。

数日前にも書きましたが、医師は専門医に紹介しようとはしないし、この患者さんだけでもかなりの医療費の無駄遣いになっています。こんなことは日常茶飯事で、全国各地で感覚的には9割以上の患者さんが“誤診”されているように感じます。

アレルギーにこだわって診療していて、「ここにメスを入れて欲しい」と私が考える気持ちも分かっていただけるものだろうと思っています。

当院は開院して12年以上経ちますが、新規受診の患者さんがない日はほとんどありません。こんなことは毎日経験しており、症状が改善していないにも関わらず、同じ薬が処方され続けています。日本のアレルギー診療のレベルの低さや医療の良心的でなさを実感しています。

今回は、ひとつ新たなパターンがありました。東京の皮膚科で、保湿剤を塗っていたのですが、軟膏による“かぶれ”を疑われていたのです。

学会で、例えばリンデロンVG軟膏を連用して、それでかぶれた話は聞いたことがあります。つまり、“湿疹”があり、それを改善させようと、ステロイド軟膏を塗り続けるのですが、実は軟膏が悪化要因だったという話です。

今回は多くの患者さんが使っているヒルドイドソフトという一般的な保湿剤が“かぶれ”の原因と疑われていました。この患者さんは、この保湿剤を塗布を止められていたようです。

湿疹が良くならない場合、そういうことにも配慮することは重要です。ただ、それよりも何よりも、そんなことを考えるのだったら、アトピー性皮膚炎と診断して欲しかった。アトピー性皮膚炎の診断もできず、保湿剤を塗って、皮疹が改善しないのは当たり前です。

いや、とても軽度のものなら改善するのかもしれませんが、それなりのアトピー性皮膚炎は、皮膚が炎症を起こしている訳ですから、ステロイド軟膏をしっかり塗って炎症を叩くことが先決でしょう。

ちなみに、アレルギーマーチに沿って、ぜんそくも出てきていましたが、やはり複数の小児科でそれも見逃されていました。

日本のアレルギー医療を、ある意味象徴するような出来事なのだろうと考えています。