先日、こんな光景に遭遇しました。
卵アレルギーがあるお子さんに卵焼きで負荷試験を行い、どんどん進んで、1個完食しました。
完食後、しばらく様子を見ても何も起きず、「食べられたね」って母に話しかけたら、キョトンとして「何が起きたのか分からない」というようなことをおっしゃっていました。
普通は、満面の笑みで、「良かったです〜」ってことがほとんどです。この差は何か?ってことですよね。
当院の場合、これまでの経過から「食べられそうだから、負荷試験で確認しよう」と言って、食べられる可能性を示しています。つまり、この親御さんは食べられるなんて想像していなかったようなのです。
実は、他の地域のアレルギー専門医にかかっていました。実家がこちらのようで、0歳の時にアトピー性皮膚炎で当院にかかり、食物アレルギーがあることを指摘していました。
当院で負荷試験を勧めていたのですが、現在住まわれている地域のアレルギー専門医にかかっており、当院までくる必要はないと考えていたようなのです。
流石に負荷試験は受けていたようで、卵は10分の1まで食べられると言われていたようです。だいぶ慎重に進めているようで、結構厳しい指導のようです。
私から言わせれば、卵焼きを10分の1食べているのなら、卵焼き1個の負荷試験に挑戦するのは当たり前のことだと思っています。経験上ですが、卵クッキー、カステラ、卵焼きは数ヶ月間隔でスイスイと食べられるケースも多いのです。
今回も、10分の1から始め、徐々に増量し、1個完食しています。私からすれば、当然の結末なのに、親御さんはそこまで想像できなかったという訳です。
アレルギー専門医ならば、食物負荷試験をやって食べられる、食べられないを判断していますが、専門医の間でも食べさせ方が結構異なるようです。私からすれば、卵焼きを10分の1個食べるのがゴールではないため、そこまでくれば、先を急ぎます。
確かに急ぎ過ぎはよくないのですが、ゆっくりやり過ぎると、お子さんが食べることに恐怖を感じ、食べないことに慣れてしまい、気持ちでも食べられなくなってしまいます。
世の中、気持ちで食べられなくなっている患者さんは多いと思われ、“除去し過ぎたこと”が要因のひとつだろうと考えています。
要は、負荷試験は多少は攻める気持ちでやっていかないといけないのだろうと捉えています。