小児科 すこやかアレルギークリニック

クリニックからのお知らせ

病院からのお知らせ

ほぼ100%が
2019年12月18日 更新

いつも書いていることですが、アトピー性皮膚炎を多くの小児科医、皮膚科医が“乳児湿疹”と言っています。

なぜそのようなことが起こるかと言うと、多くの医師達がアトピー性皮膚炎はひどいものしか指さないと考えているからと思われます。

従来のガイドラインには、「湿疹の存在」と「かゆみ」、乳児なら2ヶ月以上という「慢性の経過」の3つを満たすかどうかと書かれており、症状の軽重を問わずアトピー性皮膚炎と診断すると記載されています。

つまり、多くの医師が「症状の軽重を問わない」という箇所をみていないのでしょう。「ガイドラインくらい守りましょうよ」と言いたいのですが、皆お構いなしです。

当院は、生後1、2ヶ月で湿疹が出ると慌てて受診される親御さんも多く、そのうちほとんどがご家族にアトピーなどアレルギーがあるため、目を皿のようにして「軽いアトピーでも見逃さないぞ」という姿勢で診療しています。

話は変わりますが、食物アレルギーは「経皮感作」で起こるとされます。湿疹部分から卵や乳が入り込み、卵や乳の抗体が作られるというものです。

ところが、“湿疹”がないのに卵や乳の抗体価が上がっており、食物アレルギーは「経皮感作」だけではないと考える専門医もいるようです。

これについて、先ほど述べたように、アトピー性皮膚炎を軽いものでも見逃さないという目で診ている私の見解を述べさせてください。

個人差はあるでしょうが、アトピー性皮膚炎は軽ければ、引っ込むのも早いように感じています。生後1から5ヶ月の乳児期前半、生後6から11ヶ月の乳児期後半に分けると、ピークは乳児期前半のことが多いように感じています。

乳児期後半に差し掛かってくると、落ち着いてくるようです。そのまま治ってしまうと思いきや、あくる年の秋から冬にかけて、つまり乾燥する時期に皮膚がガサガサして、アトピーの存在が垣間見られるようです。

この状態では、湿疹はほとんどないのに、食物アレルギーだけが残るということになります。

卵アレルギーは、当院のデータでは生後3ヶ月から増えてくるため、油断も隙もあったものではありません。多くの医師が“乳児湿疹”と信じて疑わない程度の軽いアトピーでも、しっかり卵アレルギーに傾いています。

そう考えると、現在は食物アレルギーはほとんどが皮膚から起こる、一部は他のルートから感作を受けると考えられていますが、私はほぼ100%が皮膚からで説明できるのではないかと考えています(最近、花粉症から果物、野菜アレルギーになる患者さんが目立ちますが、このケースは除き、一般的な卵や乳、小麦といった食物アレルギーの話です)。