食物アレルギーは、増加していると言われています。
ぜんそくやアトピー性皮膚炎は、そこまで増えているという印象はないため、食物アレルギーの増加が目立ちます。
これって何故なんでしょうか?。
食物アレルギーは、アトピー性皮膚炎と切っても切れない関係にあります。多くは“乳児湿疹”などと診断されていますが、アトピーの湿疹部分から経皮感作を起こし、発症してくるようです。
アトピー性皮膚炎が増えていれば、感作を受けやすいため、食物アレルギーも増えるというストーリーは考えやすいと思います。しかし、私の記憶が正しければ、アトピー性皮膚炎は増えていないと言われていると思います。
当院のデータでは、乳児期に湿疹があると、生後6ヶ月以降の赤ちゃんの3分の2は卵アレルギーに傾きます。では、その赤ちゃん達全員が卵アレルギーを発症するのかと言えば、そうではないはずです。
多分、育児書に沿って卵黄から与えているうちに、知らず知らずのうちに治ってしまうケースが結構多いのだろうと思っています。いつも言っていますが、食物アレルギーは早期から食べていると、治るチカラはかなり強いように感じています。除去することで、治ることの逆方向に引っ張られていくように考えています。
食物アレルギーのガイドラインにも、食物アレルギーが増える要因として、離乳食の開始が遅いことと明記されています。ということは、食物アレルギーを心配して、ついつい「卵などを早期から食べさせないこと」が誘因になっているのではないかと考えられます。
何もなければ、これまで通りというか、一定の割合で食物アレルギーが起こるのでしょうが、食物アレルギーは近年増加していますので、離乳食で食物アレルギーを心配して食べさない親御さんの割合が増えているのかもしれません。
食物アレルギーを心配させる要因としては、児童の死亡事故もありましたし、それ以降、食物アレルギーの研修会が全国各地で開催されています。食物アレルギーは命に関わるので、安易に食べさせてはいけない、アナフィラキシーショックに備えてエピペンを持ちましょうと医師など関係者が繰り返しています。
啓発のための活動が、かえって「食物アレルギーは怖いものだ」、「食べさせないようにしよう」という発想につながっていないか危惧しています。
食物アレルギーの増加の原因として、あまり言われていませんが、この考え方もありなのではないかと、私は考えています。