先日、N市から患者さんが来られました。
卵アレルギーということで、卵を除去しており、周囲が当院の受診を勧めてくださったようです。
検査は、卵白はクラス3だったかな。オボムコイドがクラス4でした。オボムコイドとは、ご存知の方も多いと思いますが、加熱卵白を意味しています。
卵白が高くて、オボムコイドが低ければ、加熱した卵なら食べられそう、オボムコイドも高ければ、加熱卵は食べられなさそうと考える人が多いようです。
オボムコイドは、加熱した卵を食べられるかどうの指標に使われており、専門医も参考にしているのではないかと思います。しかし、私はそれほどオボムコイドには注目していません。
“食べさせる”方がよっぽど重要だと考えているからです。確かに0歳の乳児に卵の負荷試験を行うと、オボムコイドが高い人の方が症状が出るように感じます。しかし、必ずしも数字が高いから食べられないことを示している訳ではないように捉えています。
それで、今回のケースですが、オボムコイドがクラス4。それなりに高い値です。親御さんも一生懸命で、卵の加工品は与えていたようで、今回は当院のやり方で、カステラで負荷することにしました。
カステラは、ご存知のように卵を多く含む食材なので、多くの医師がカステラなんて食べさせようとはしないだろうと思います。ただ、いつも言っているように、“除去”は何も生まないと感じており、前進あるのみだろうと考えています。
結果は、予定通り、カステラを食べられました。だいたい加工品を食べ慣れていると、カステラくらいは食べられることが多いのです。
これで春には卵焼きで負荷試験ができます。懸案の卵アレルギーは、春には卒業できる見通しです。
そう言われると、「え〜っ」と感じる方もいるかと思います。「そんな簡単でいいの?」って。
加工品を食べている方は、どんどん食べ進めても問題なく食べられることが多いのです。食べていない方が、何かしら引っかかることが多いようです。
本来、オボムコイドは、卵アレルギーを攻略できるかどうかを判定する指標として使われるべきものです。逆に、これが少し高いと「食べてはいけない」という「壁」に使われているような気がしています。その結果、卵アレルギーを治りにくくしているのかもしれません。
食物アレルギーにおいて、抗体価は参考にすべきもので、負荷試験を優先するというのが基本線だったはずです。
今回は、オボムコイドについて指摘しましたが、食物アレルギーにおいては抗体価で語られることが多く、どれについても似たようなことかもしれません。「ちょっとそれは違うかもしれない」と認識していただいた方がよろしいかと思われます。