全国的にそうでしょうが、インフルエンザが流行しています。
お子さんは発熱しやすいですが、この時期は熱が出ると、親御さんは皆インフルエンザを心配されます。もっともなことだろうと思います。
例えば、インフルエンザを調べて、検査が陰性だったとします。医師も「風邪だね」とか言い、患者さんもそれで納得してしまうのだろうと思います。
風邪だと熱は1、2日で下がることが多いですが、3日、4日と続けばどうでしょうか?。風邪ではない可能性が高まります。実際、私の地元ではアデノウィルスやRSウィルス、ヒトメタニューモウィルスも結構みかけるし、流行っています。
先日、高熱が続く幼児が受診されました。親御さんはインフルエンザを心配されています。となると、真っ先にインフルエンザを調べることになります。
結果は、陰性。いま、高熱が数日続くアデノウィルス感染症も結構いるため、「インフルエンザは違うようなので、アデノウィルスを調べたいと思います」と親御さんに伝え、検査させていただきました。
検査キットの関係で、同じ検体を使うことできますので、新たに痛いということはありません。のども赤かったので、「アデノかも」と考えたのですが、それも陰性でした。
もう一度カルテをよく見ると、発熱もそうですが、咳もひどいとあります。いま高熱が出て、咳もひどいとなるとRSウィルスやヒトメタニューモウィルスの可能性を考えなければなりません。
この患者さんはぜんそくもあり、治療をしています。咳をひどくしないように、予防的治療をしていたのに、咳がかなり悪化しています。RSウィルスの可能性も十分あると考えました。
全国的にそうですが、1歳以上になると患児のRSウィルスを調べる医師はガクンと減ります。検査費用が医院の持ち出しになるからです。当院では、咳を悪化させないように治療している責任があるため、こういうケースでは積極的に調べています。
結果はRSウィルスが陽性でした。RSウィルスには特効薬がなく、熱が続けば続くほど、体力を奪い、呼吸状態が悪くなり、入院するリスクも高まります。RSウィルスを疑っても調べない医者の気が知れないのです。
結局、1回目で診察し、2回、3回、4回と診察室に入っていただいて結果説明をし、最終的にRSウィルスが悪さをしていることを突き止め、熱の続く理由、咳の治療をしているにも関わらず悪化している理由を説明し、入院の可能性もあることを付け加えることもできました。
親御さんは「原因が分かってよかった」とおっしゃっていました。これだけインフルエンザが流行すると、インフルエンザが陰性だと「風邪ですね」なんて味気ないことを言われたりしますし、医師は外来を速やかに終えるために、ハイスピードで診察しているようです。
患者さん、親御さんのことを思えば、診察には時間がかかるものだし、かけなければ答えは見つかりません。ましてや当地ではアデノもRSもヒトメタも結構流行っています。
味気ない医療は、医師側の効率を求める結果であろうと考えています。親御さんもインフルエンザでないと分かれば満足される方もいらっしゃいますが、もう少し診療には時間がかかるし、かけなければならないことを理解していただきたいと思っています。