先日、先月から咳が止まらないというお子さんが受診されました。
かかりつけ医で「ぜんそくかもしれないからぜんそくの薬を出しておく」と言われたそうです。効いている感じがなく、親御さんの判断で当院を受診されています。
効いていないのなら、医師の方が専門医に紹介状を書くのが筋ですが、全国津々浦々、紹介状を書きたがらない医者が多いんですね。自分が誤診していることに気づかず、同じことを繰り返してしまう、日本の医療の汚点だと思っています。
ぜんそくのことを分かっていれば、この子の咳はぜんそくでないのは明らかなのですが、多くの医師がこの子の咳を判断できないようです。
今回のこの子は心因性咳嗽だと思われます。要は、ストレスを溜め込んで、「咳」をすることで大人にアピールをする病気です。
ぜんそくは痰が絡み、寝ている間も咳き込む、本人にはどうしようもできない病気ですが、心因性咳嗽だと痰は絡まないし、寝ている間は咳をしようがありません。取ってつけたような、わざとらしい咳をするのが特徴です。
過去にAという小児科、Bという小児科からも同様のケースが逃げてきていますが、やはり普通の小児科医には心因性咳嗽は見極められないようです。いずれも、当院へ紹介はなく、親御さんが困り果てて当院に逃げてこられました。
治療は薬に頼ることなく、お子さんのステレスを察知し、取り除く努力をすることで、軽減させることができます。
医師の知識不足で、なかなか救いの手がさしのべられない病気のひとつだと思われます。