今日は、切ない話をしたいと思います。
先日、10才のお子さんが当院を初診されました。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーではなく、珍しくぜんそくででした。
当院は市外からの受診も多いのですが、病気はアトピーや食物アレルギーであり、ぜんそくはあまりいません。ぜんそくは呼吸困難を起こすため、入院するとなると地元の病院ですし、夜間に救急外来に駆け込むこともあり、地元の病院にかかるのでしょう。
それでも敢えて、市外から通院されている患者さんもいらっしゃいます。日頃から発作を起こさないように手なずける治療を「長期管理」と言います。長期管理をよく分かっていない小児科医も少なくないため、長期管理を上手くすることで、入院しなくなり、地元も病院に駆け込む必要がなくなるからだと思われます。
今回の患者さんは、市内の開業医にかかっていました。治療を継続していても、よく発作を起こし、点滴を繰り返していました。医者も「何で落ち着かないんだろう?」と首を傾けていたそうです。
こういう場合、親御さんはかかりつけ医を信じ、文句ひとつ言わず、通院するのですが、今回はお子さんが、頑張って通院しても良くならないため、「医者を代えたい」と言ったのだそうです。
こういうパターンは滅多にないことで、お子さんの気持ちを察すると、切なくなります。今日のタイトルは、ここに由来しています。
お薬手帳を確認すると、一応それっぽい長期管理の薬は出されています。アドエアというぜんそく薬も処方されていました。
まず確認すべきは、アドエアがキチンと吸えているのかどうか?。親御さんも一生懸命なので、思春期にありがちな治療自体をサボっているということはなさそうです。アドエアはいい薬ですが、上手に吸えていなければ、効くものも効かないということになってしまいます。
まず、やるべきことの再確認を行い、それでも症状が安定しなければ、治療薬の量を増やすなど、治療の強化が必要になります。
わずか10才のお子さんの期待に応えられるよう、頑張りたいと思っています。