専門的な分野において、こだわりもなく、たいして努力もしていない医師が「2階」部分の仕事を任されたらどうなるでしょうか?。
その分野の「プロ」だからこそ、好きこそものの上手なれで、任された仕事を遂行できるのに、1階の住人の医師は、「1階」の仕事しかできないのが現実でしょう。
日本は、医師が何でもできるということになっているので、あたかも「2階」の仕事をできるかのように振る舞うこともあります。本当は専門医に紹介すべきですが、特に開業医は、自分の城を守る必要があるため、紹介しないことも多いのです。
患者さんも、医師を信じるしかありませんし、医師のやることを客観的に評価できないため、すべて“おんぶに抱っこ”になりがちです。こうなると、「医療」ではなく、もはや「宗教」に近いように思っています。
医療を受ける患者さんは、医師の実力を知っていて、この医師で改善がないなら、別の医師となればいいのでしょうが、かかりつけ医を信じ続け、いたずらに時間が過ぎ、病状が悪化することすらあります。特にアレルギーは、適切に治療していかないと、こじれてしまうことはよく経験します。
アメリカだと、医療の分業化が進んでおり、まずは一般医のもとを訪ね、ダメなら専門医に紹介するというルールがあるようです。日本とは大違いです。
多くの患者さんは、日本は医療先進国で、保険のシステムと相まって、世界トップレベルの医療を受けられているとお考えでしょうが、果たして本当でしょうか?。
かかりつけ医が良心的であれば、必要な時に専門医に紹介してもらえ、その恩恵に預かれると思います。そうでなければ、大して根拠のない、独りよがりな医療を受け続けて、お子さんの病気を悪化させるだけなんてこともあり得ます。
お医者さんは何でもできるという発想は、もう古いというか、最初からできないことに気づいていただきたいと思っています。