新型コロナウィルスがイタリアのみならず、ヨーロッパ各地で、またアメリカでも急速に拡大しています。
日本は、クルーズ船で新型コロナウィルスの恐怖が早めに知れ渡ったせいか、出歩かない人も多いようで、爆発的な拡大にはなっていません。几帳面な国民性のお陰でしょうか?。
そんな中、医師会がインフルエンザの検査をしない方針を打ち出しました。インフルエンザの検査をやろうとした医師が、患者さんの咳き込みか何かで、実はコロナウィルスをもらってしまったからだそうです。
コロナウィルスと違い、インフルエンザは調べる検査が潤沢にあり、簡単に白黒をつけることができます。メディアが新型コロナウィルスの検査を多くの人が受けられるようにすべきだと主張していましたが、それこそインフルエンザを調べるべきとは思いますが、そうしない方がいいという訳です。
この弊害について考えてみたいと思います。
インフルエンザは流行期を過ぎ、当地ではだいぶ少なくなっています。それでも、インフルエンザといえば、熱が続き、咳も結構出る、強い感染症と言えます、肺炎も起こすこともあります。
これまではインフルエンザを多くの医師が気軽に調べていたのですが、今のような状況では、熱が数日続けば、新型コロナウィルスを疑うことになります。保健所や地域の中核病院を受診することになります。逆に、新型コロナウィルスの集まる場所に行かざるを得ないので、もらいやしないかと思います。
小児科医はもっと困難を伴います。インフルエンザを調べないようにと御達しがあれば、同じ理由で溶連菌やRSウィルス、ヒトメタニューモウィルスも調べない小児科医が多発してしまいます。
実際、当地では溶連菌、RSウィルス、ヒトメタニューモウィルスが結構います。溶連菌は肺炎は起こさないでしょうが、RSウィルスやヒトメタニューモウィルスは肺炎は起こし得ますし、熱も4日以上続くことはざらです。しかも感染力はかなり強いです。
となると、医師は萎縮していまい、これらの検査をしないので、場合によっては“原因不明の肺炎”が複数発生してしまうことになると思うのです。
本来クリニックで対応できるものを、わざと難しくして、保健所や中核病院に患者を集中させることになってしまうと思います。それがひいては、医療崩壊を導いてしまうことを危惧しています。
クリニックの医師が怖がるだけで、個人的には、やるべきことをやっていかないといけないのではないかと思っています。