食物アレルギーと聞いて、大人の方だと「エビ」を思いつく人もいるかもしれません。
子どもが多いのは、卵、乳、小麦ですが、大人だとエビも主要なアレルゲンのひとつだろうと思います。
大人の食物アレルギーは、治らない、一生除去と捉えられているように感じています。多分、世の中には大人に対し、エビの負荷試験がほとんど行われておらず、エビアレルギーと思っている人の中で、症状が出る人が何パーセントとかといったデータはないと思います。
要は、多くの人が食べられないものと思って、避けているというのが現状ではないでしょうか?。当院でも成人のデータはありません。
でも、これまでコツコツとやってきた子どものデータならあります。エビアレルギーが疑われ、アレルギー採血の結果がクラス2以上の陽性だった患者さんに、エビを5尾食べさせる負荷試験を行いました。
症状が出たのが、15%ほどでした。この結果をどう思われますか?。要するに、85%は心配で食べていなかったけれど、食べられたということです。かなりの確率だと思いませんか?。
これだけの割合で、除去していた格好です。患者さんたちはもちろん、医師たちであっても、エビは食べさせてみると、結構な確率で食べられるという認識が不足しているのだろうと思っています。
エビの負荷試験をキチンと行える医療機関はそんなに多くないと思うので、たまたま当院にかかったから食べられることが判明したものの、そうでなければ、一生エビを怖がって食べられなくなっていたものと推測されます。
もともと、エビに関しては、検査が陽性であっても食べられる、もしくは検査が0であっても症状が出ることがあると言われています。検査結果を真に受けて、食べさせてみようとする医師が非常に少ないものと思われます。
専門でない医師から「一生食べられないでしょうね」などと言われ、必死に除去している人が全国の大勢いらっしゃるであろうことを考えると、何だか切なくなります。
やはり、負荷試験は多くのケースで施行されるべきであろうと考えています。