新型コロナウィルスの患者が急増しています。
もはや日本全土に広がるのは時間の問題かと思われます。医学が進歩したなんてお思いでしょうが、結局、人類はまだまだウィルスには勝てないのかもしれません。
新潟県の聖籠町というところで、新型コロナの患者さんが出たとのことで、今週始まったばかりの学校の向こう1ヶ月の休校が決まったそうです。私の地元でも先日、新型コロナの患者さんが出ましたが、休校措置は取られていません。この差は危機感の差なのだろうと思っています。
昨日、ある芸能人が新型コロナに関して、日本の対応を「狂っている」、「危機感が足りない」とコメントしました。「医療崩壊したら、みんな助からない」とも言っています。正論だと思います。
「医療崩壊」って、自分に関係ないと考えている方も多いと思います。例えば、皆さんの地元の病院に新型コロナの入院用のベットが10室用意されているとします。
毎日、首都東京の発症患者数が報道されていますが、日々増えています。感染力の強さがうかがえます。
東京は大病院も多いので、ベッドは今のところは確保されているかもしません。地方都市で新型コロナが広がり、100人の患者が発生したとしたら、10人は入院加療できますが、残りの90人は入院加療してもらえないことになります。
軽い人は自宅待機ということになっていますが、途中での急変だってあり得ます。既にガンや重い病気で入院している人もいますので、ベッドを100人分を用意するのは困難です。
イタリアでは、こんな状態になってしまい、若い人を救うために、60歳以上の年配者は治療しないという方針になっていったといいます。それを避ける現実的な対応は、ゆっくり感染させるという選択肢もあります。一気に100人の患者が出てしまうと、90人が足りなくなる訳で、発生のスピードを遅くすること。例えば、2週間ごとに10人の患者さんが発生していけば、2週間入院して退院となってくれれば、10個のベットで何とかやりくりできます。
中には、とても重症なために加療に時間がかかることもあるでしょうし、忘れがちですが、神経をすり減らして働き続ける医師をはじめとした病院スタッフは確実に疲弊します。医師などがコロナをもらってしまうと、スタッフの欠員により診療がうまく回らなくなってしまいます。
日本はまだまだと思っている方も多いように感じますが、既に「医療崩壊」の一歩手前(地域によっては突入している)の状況なんだろうと思っています。
それと、イタリアの死亡率が極めて高く、一時は10%弱と報道されていました。10000人かかれば、1000人が亡くなってしまうのです。今のところ、日本は死亡率は非常に少なくなっていますが、「医療崩壊」の領域に踏み込んでしまえば、助けられる命も助けられず、死亡率は一気に増えるものと思われます。
ここ最近、当院も発熱の患者さんをよく診ます。いずれ新型コロナのお子さんも診ることになるでしょう。いや、診ているのに気づいていないだけかもしれません。マスクや防護服、メガネは装着していますが、感染力が強いので、いつもらってしまうか分かりません。そうなれば、私自身の命も助からないかもしれません。まあ、私自身は覚悟はして、診療に当たっています。
「医療崩壊」の状態に陥れば、多くの人がパニックになることでしょう。自分だけは助かりたいと思うはずです。現時点で、その一歩手前の状態では、想像力が働かず、「マスクが2枚だなんて」とか「休業補償しろ」とか言っています。
私の予想では、というか医師なら「医療崩壊」は免れないことは分かっています。起こるであろうことを予測して、行動することは大切です。となると、おのずからもう少し想像力を働かせた上で、我々のやるべきことは見えてくるのだろうと思っています。