小児科 すこやかアレルギークリニック

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私の捉え方
2020年05月13日 更新

食物アレルギーは多くの医師が「除去」しなさいと言います。

食べるとアレルギー症状を引き起こすので、食べないようにして、過敏な状況から冷却期間をおいて、食べられるようになるのを待つということなのでしょう。

確かに、思惑通りに食べられるようになることもあるのかもしれません。ただ、特に重症な患者さんは完璧に除去していても、一向に食べられるようにならないことも経験します。

そもそも、濃いものを食べてアレルギー症状を起こしてしまったもので、もっと少ない量なら何の問題もなく食べられることも多いのです。

それなのに食べないよう指導してしまうと、食べないことが当たり前になってしまい、食べることにかなりの恐怖心を抱くようになります。実際、除去期間の長かった患者さんに負荷試験をやろうとすると、食べてくれない、もしくは食べるのにかなり苦労し、かろうじて食べてくれるなんてことはよく経験します。

私は食物アレルギーの捉え方は図のように考えています。グラフの横軸は「年齢」、縦軸は「食べられなさ」を表します。除去を続けていくと、時間経過とともに食べられなさも増していくように感じています。

食物アレルギーは「除去」と「待ち」と指導されることが多いですが、青い矢印のように病気が進行していくように思っています。それではダメだと思っていて、オレンジの矢印のようにいかなければならないのだと考えています。

つまり、まだ若くて、食物アレルギーがこじれる前に、少しずつ食べさせる作戦です。「食べられなさ」の程度も軽いうちに、食べることの恐怖心も抱く前に食べさせていく。斜めの線(グラフ)の左下に行けば行くほど治りやすく、右上に行けば行くほど治りづらいというイメージです。

いかがでしょう。長年食物アレルギーの診療にたずさわってきて、こんな感じなのだろうと私は捉えています。