よくラッキーな人を、“持ってる”と言ったりします。
もともと関東の人なのですが、コロナ騒動で戻ってこられていて、“湿疹”が気になるとのことで、当院を受診されました。
アトピー性皮膚炎の診断もなく、ステロイド軟膏は処方されていて、薬局からはステロイドは2週間以上は使ってはならないと言われていました。医師なら、ステロイド軟膏の使用をよく分かっていない人もいますが、薬剤師がそんなことを言うケースは少ないと思います。
今回の患者さんは、生後7ヶ月だったかな、まだ乳児です。アトピー性皮膚炎が見逃されていると、食物アレルギーが起こりやすいので、要注意です。
実際、アレルギー採血の結果、卵白はクラス4でした。結構高いです。親御さんは、アトピー性皮膚炎があるとはつゆ知らず、食物アレルギーも何も心配されていませんでした。
卵白クラス4ですと、離乳食で卵黄から食べさせているうちに、知らないうちに治ってしまうことはあるのだろうと思います。その一方で、さじ加減を誤れば、アナフィラキシー も起こし得ます。
事前に、卵アレルギーに注意という情報が分かれば、配慮のしようがあるのですが、何もない状況では、アナフィラキシー に至ってしまっても仕方はないと思います。
それと、血清TARCというアトピー性皮膚炎の指標となる項目の数値が3600くらいありました。基準値が1367未満なので、結構高いことが分かります。
経過と診察所見からアトピー性皮膚炎と診断していますが、湿疹をいい加減に“治療”!?していては、別の食品にもアレルギーを起こすようになるかもしれません。
生後7ヶ月くらいでは、経皮感作も起こしやすいので、更なる悪化を防ぐには、いち早く湿疹の徹底的な治療が必要になります。
それと、卵白クラス4への対応です。除去してはいけません。負荷試験をして、「これくらいなら食べられる」という量を設定し、家で頻繁に食べるようにすれば、治す方向に持っていけます。
この患者さんは、たまたまコロナ騒動で、地元に戻ってきて、たまたま当院のウワサを聞きつけて受診されました。それでアトピー性皮膚炎の存在と、卵アレルギーというか、卵の与え方に注意が必要であることが分かりました。当院で負荷試験を行い、食べられるようにしていくつもりです。
コロナ騒動がなければ、ウワサを聞きつけなければ、コロナが嫌だからと当院を受診されなければ、何も分かりませんでした。
このお母さん、“持ってる”ってことになりませんかね?(笑)。