小児科 すこやかアレルギークリニック

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2020年06月05日 更新

先日、アレルギー疾患にはステロイドを使うという話をしました。

食物アレルギーでは、ほとんど使いませんが、ぜんそくとアトピー性皮膚炎では継続的に治療して、症状を安定させることが重要だともお話ししました。

食物アレルギー以外、つまり、ぜんそくとアトピー性皮膚炎は戦略が似ているように思いますが、似ていない部分もあるように感じています。

アトピー性皮膚炎に関しては、「ステロイド軟膏をできるだけ薄く塗り、良くなったらすぐに中止する」という方法は専門医は推奨していません。慢性の病気は、そう簡単に治るものではなく、皮膚症状を安定させるクセをつけることが重要です。

そんな数日というスパンで中止できるものではありませんが、強めのステロイド軟膏を広く、ベッタリと塗ることで、症状を消すことがポイントです。口で言うのはたやすいですが、でもやってやれないことはないと思われます。

そして、ゆっくりと減量していきます。例えば、1日2回塗布していたのを、1回に減らす、1日毎に減らす、、、というようにです。うまくいくと、数ヶ月でステロイド軟膏を中止できる患者さんも出てくると思います。

このように、アトピー性皮膚炎は比較的短期で治療できるケースもあると考えています。

私の感覚では、ぜんそくの方は、吸入ステロイド薬で治療を開始した患者さんを数ヶ月で治療を止めることはできないことが多いように感じています。ある程度、年余に渡る治療が必要のようです。

そもそも、ぜんそくは吸入ステロイド薬を使えば、治せるものでもなく、逆に使わないといけない患者さんは、なかなか治りづらいように感じています。

アトピー性皮膚炎は、軽症からステロイド軟膏を使う、ぜんそくは、軽ければ内服薬、重くなると吸入ステロイド薬を使うという治療法の差に由来するのかもしれません。

古い論文になりますが、割と早期から喘息児に吸入ステロイド薬を導入し、2年使用したら、症状は安定してきたけれど、中止後に徐々に元に戻ったという報告があります。

2年くらい吸入ステロイド薬を使っても、なかなか根治まで持っていけないと言えるのかなと思っています。

いずれにしても、治療をあきらめてはいけない、それは動かせない事実なのだろうと考えています。