食物アレルギーでアナフィラキシー を起こした場合、“特効薬”はエピペンです。
よく医師から抗ヒスタミン薬などの内服薬が処方されますが、皮膚症状を和らげるのが目的であり、アナフィラキシー には効果は期待できません。
アナフィラキシー に至った場合、いかに速やかに、そして確実にエピペンを使えるかと言うことなのだろうと思います。
最近、私は水曜午後を利用して、食物アレルギーに関する講演を行なっていますが、エピペンの話をする際に、8年前の東京調布市の誤食死亡事故に触れざるを得ません。
実は、あの事例でも校長先生がエピペンを打っています。でも、命を救うことはできませんでした。なぜだろうと思いませんか?。
先日、部屋の整理をしていたら、エピペンのメーカーが作成した冊子が出てきました。それにこんなことが書いてありました。
「エピペンはアナフィラキシー を発症した患者が、医療機関で治療を受けるまでの時間を確保する薬剤です」と記載されていました。
これは、特効薬ではなく、言い方は悪いですが、“一時しのぎ”的な治療であることを暗示しています。“特効薬”のようで、“特効薬”ではないということなのだろうと思っています。
要するに、エピペンを打てば、100%救命できる訳ではないのです。アナフィラキシー が進行しすぎると、エピペンを使っても救命できないことがあり、さほど進行していなければ、間にあわせることができるという感じでしょうか。
アナフィラキシー ショックによって血圧が下がった状態でエピペンを使うと、血圧を一時的に上げることができます。しかし、エピペンの作用時間は長くはないため、薬効が切れれば、また血圧が低下し、状態が悪化することもあるのです。
エピペンを打って、ショック症状が改善してやれやれと思っていても、再度悪化することもあります。それで足元をすくわれないようにしていただきたいと思っています。