昨日の続きです。
ある皮膚科にとびひでかかっていた患者さんが、当院に移ってこられました。
たかだかとびひなのに、何故?ってなりますよね?。とびひと診断されて、治療されてもよくならない理由を考えなければなりません。
皮膚を拝見してみると、よくなっているような、よくなっていないようなという感じでした。もちろん、不満、不安に思わないと、医者を替えようとは思いませんよね?。
ポイントは、引っ掻き傷でした。かなり痒みがあるのです。
ええい、答えを言ってしまいましょう。この患者さん、実はアトピー性皮膚炎がありました。逆にアトピー性皮膚炎などがないと、なかなかとびひにはかからないと思います。
この時期、例年よりはアトピーの患者さんが調子が悪いようです。急に暑くなったので、汗などで皮膚が悪化しているようです。当然痒いので、痒いから皮膚を掻く。傷からとびひの原因菌が入れば、掻く先々でとびひしまくることになります。
皮膚科の治療でとびひはよくなるものの、アトピー性皮膚炎の治療をしていないので、とびひの菌が死ぬことなく、あちこちに飛びまくる。それで落ち着かなかったと考えています。
患者さんは、とびひだからとびひの治療をすれば、それで十分と考えると思いますが、悪化要因まで思い巡らして対応しないと、よくならないことは結構あることだと考えています。
この場合、とびひの治療とアトピー性皮膚炎の治療を同時にしなければならないのです。「えーっ、同時に!?」なんて思うかもしれませんが、その場合は、とびひの治療だけではダメだし、アトピー性皮膚炎の治療だけでも物足らないのです。
だから、単純明快に「同時に」です。当院は、こういうことは結構あります。他の小児科、皮膚科、耳鼻科などで治療してよくならないと、当院を頼って受診されることはよくあるので、これまで「よくするためにはどうしたらよいのか」というテーマに何度も何度も遭遇してきました。
次回受診時には、改善しているのが目に見えるようです。万が一、よくなっていなければ、さらにどうすればいいのか、考えればいいだけのことです。
意外と上っ面しか見ておらず、改善できていない“医療”ってあります。親御さんには、症状を良くすることに貪欲であって欲しいと願っています。