以前、ぜんそく治療に「ゼロレベル作戦」というものがありました。
ぜんそくの症状を起きないようにして、安定させるというものです。ぜんそくは発作を起こせば、さらに起こしやすくなります。その逆に、発作を起こさないようにすれば、発作のおこしやすさを遠ざけることができるということです。
ぜんそくは、慢性の病気なので、すぐに治してしまう方法などなく、長い間症状を安定させることが重要です。発作ゼロを目指し、持続するというのが「ゼロレベル作戦」ということでしょう。
普段よく言っていますが、ぜんそくなのに、風邪と診断されているケースって、意外にもよくある話です。確かに少しゼーゼーするくらいだと、風邪と診断したくなる気持ちも分かりますが、これを風邪と判断してしまうと、「ゼロレベル作戦」を継続できないことになってしまいます。
速やかにぜんそくの治療を行なって、症状を安定させるようにしないと、ぜんそくの状態を悪化させかねません。
「この咳は何なのか?」と常に考えていないと、いけないと思っています。「どうせ風邪だろう」という考え方が、「ゼロレベル作戦」の観点からすると、後手に回ってしまい、一番避けなければいけないと考えています。
ネットで調べてみると、1996年発売の本に「ゼロレベル作戦」という言葉が使われています。ということは、すでに20年以上前から、アレルギー専門医に間では言われていたことなのです。
にも関わらず、いまだに微妙なケースはかなり見逃され、「ゼロレベル作戦」が徹底されていないのが現実ということになると思います。
とにかく、症状を安定させないことには、前に進めない。このことをご理解いただきたいと思っています。