「食物負荷試験」、食物アレルギーの診療に欠かせない検査だとされています。
以前から、この場でも食べられるか否か、白黒をつける検査だと述べてきたと思います。実際、そう考えている人も多いと思います。
私の中で、ちょっと捉え方が変わってきたと思います。どう変わったか?。「白黒をつけなくてもいいんじゃないか」ということになるのかな。
いや、「黒はつけるな」という感じかな。
そう言われても、真面目な方は「・・・」って感じだと思います。
以前は、それこそ食べられるか、食べられないかを調べる検査であったと思います。以前は、負荷試験をやっている専門医であっても、症状が出ると「食べられないから、除去で」と言っていたと思います。
そりゃ、目の前で食べて症状が出たのだから、症状を起こさないようにするには、「食べるな」というのは当たり前かもしれません。
今は、「これくらいなら食べても大丈夫」というのが分かるための検査だと捉えています。
食物アレルギーは、食べることで治すことができるのだろうと考えています。除去しても治るということもあるのだろうと思います。ただ、除去している間に、体が受け付けなくなってしまえば、気持ちで食べられなくなります。
除去を続けていて、本当は治ったのに、その食べ物を体が受け付けなくなり、除去を続ける羽目に陥ったなんてことも、十分あり得ると思っています。
であれば、恐怖心が芽生える前に、早期から食べて、慣れて、治していく方がいいと思うのです。
そこで、負荷試験。仮に症状が出たとしても、「これくらいなら食べられそうだ」というのが分かれば、その量を食べていれば、治る方向に少しずつ進めると考えています。
ですから、無理をしない負荷試験をすれば、「これくらいなら食べられる」ということが分かります。
つまり、負荷試験を100件やったら、100人各様の解除に向けた一歩を踏み出せるのだろうと考えています。要は、負荷試験の数だけ、解除のスタートが切れるのだろうと思っています。
そのためには、新潟県なら新潟県の医師が1件でも多くの負荷試験をやるべきだろうと思います。しかし、現実にはそれほど多くの負荷試験が行われている訳ではないようです。
当院のやれることと言えば、1人でも多くの食物アレルギーで困っている患者さんに受診していただき、負荷試験を行うことで、解除の向けたスタートを切ることなのだろうと思っています。