学会からの「鶏卵アレルギー発症予防に関する提言」の2番目の件です。
「鶏卵の摂取の前にアトピー性皮膚炎を寛解させることが望ましい」、そう書かれています。
アトピー性皮膚炎とちゃんと診断できる医師が少ないのが現状だと思います。診断できない、治療できないということだと思いますが、寛解させるなんて、皮膚症状を完璧に抑え込むということなので、さらにハードルが上がってしまいます。
食物アレルギーは、19年も前からこだわって診療してきたつもりです。経皮感作で食物アレルギーが起こるというのには驚きました。食物アレルギーをどうしたら減らせるかと思いを巡らせてきましたので、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーについても、ずっと考えてきました。
そうしたら、多くの医師がアトピー性皮膚炎とは診断しないような軽微な湿疹からも食物アレルギーを発生させることが分かりました。
であれば、医師はアトピー性皮膚炎とは思っていないので、ちゃんとした治療は行われないことになりますよね?。
その逆で、アトピー性皮膚炎が重めで、強力に治療しないといけないのに、よくあることですが、「ステロイドは薄く塗りなさい」とか、「良くなったら塗るのをやめなさい」とか言われてしまいます。これでは、“寛解”にも至りません。
鶏卵の摂取を始める前に、提言通りに寛解に至らせることができるケースは、結構少ないと思われます。それは、卵アレルギーがとても多く、多くの医師が診ているのが現状です。その多くの医師の中で、アトピー性皮膚炎の治療に精通した医師は非常に少ないと思われます。
せっかくの提言ですが、提言を活かせる環境づくりが必要だろうと思っています。