先日、紹介状を持った患者さんが受診されました。
当院を受診される食物アレルギーの患者さんは、ほとんどが紹介状なんて持参されません。医者が治そうと思っていないから…。
除去継続と言ったり、家で少しずつ食べさせなさいと言うだけで、絶対に治そうとか、安全に食べさせようという発想は、アレルギー専門医だけしか持っていないようです。
そう、今回はかなり珍しく、専門医からの紹介状を持って受診されたのです。
卵白の抗体が陽性で、何度か負荷試験をやっていました。卵を2g食べられるようになっていました。
その後、専門の先生の異動により、以降は私に託してくださったという訳です。これは、徐々に食べさせて、治そうという熱い気持ちが見て取れます。有り難い話です。
これは期待できます。親御さんに話を聞いてみると、現実的にはどうなのかという課題が見つかりました。
先ほど述べた通り、卵を2g食べられることが確認されています。家では卵の加工品も摂っていいことになっていました。ただし、ただし、食べさせたい加工品は、いちいちメーカーに電話をして、卵の含有量を確認して、2g以内で食べさせるようにという指示だったのです。
これは、大変です。ちょっと現実的な指導ではないと思っています。何故このような指導がなされていたのか?。
食物負荷試験では、加工品が使われないからだろうと考えています。卵焼きなり、卵料理を“モノサシ”にしています。加工品だと、含有量が定量的でないからということなのでしょう。
今回の経験から、まだまだ、負荷試験は研究的な面が色濃く残っているように感じました。
その結果、食べられるものが、メーカーに電話しないと分からず、親御さんもだいぶ不便そうでした。多分、専門病院だと、どこでも“モノサシ”を卵料理と設定しています。親切なところだと、これくらいならあれもこれも食べられると指導しているのだろうと思います。
当院は、加工品で負荷試験を行っていますが、とにかく食べられれば、もっと食べられるようになるため、“モノサシ”を卵料理にしなくても、何とでもなると捉えています。
いろいろな負荷試験は、あってしかるべきだろうと思います。ただ、一部の専門医で当院のやり方を否定的に見ている人もいるようです。
私は研究したくて負荷試験をやっている訳ではありません。とにかく食べさせて治していきたいからです。であれば、こういう方法もあっていいはず。実際、治っている患者さんも多いのですが、自分達のやり方が一番という専門医もいて、何だかなぁと思っています。