先日、ワクチンデビューの生後2ヶ月の赤ちゃんが当院を初めて受診されました。
みると、顔に“湿疹”を認めました。
アトピー性皮膚炎は、初期の軽いものは、多分ほぼ全例が“乳児湿疹”などと診断され、生ぬるい治療がなされているようです。
「生ぬるい治療」とは、「ステロイド軟膏をできるだけ薄く塗って、よくなったらすぐに塗るのを止める」というものです。残念ながら、そういう治療は、全国津々浦々で行われいるように思います。
病気は、やはり早期発見、早期治療が基本となります。アトピー性皮膚炎を疑った場合、親の影響を受けやすいため、家族歴を確認します。親御さんは、皮膚が弱いそうです。
これも分かったような、分からないような“診断”です。多分、親御さんもアトピーなのだろうと推測します。
乳児期初期の湿疹をアトピーかどうか見極める際、重要なのは「痒み」とされます。
親御さんに「痒みはありますか?」と聞いてみました。「いえ、そんなことはありません」という返答。
ちょっと怪しかったので、「顔をこすりつけたりしませんか?」と聞き直すと、「それはあります」と。それは「ママ、痒いよう」という赤ちゃんからのSOSなんですよと伝えます。
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎の診断基準には、「2ヶ月以上の慢性の経過」を確認することが必須であると書かれています。ということは、発症してから、2ヶ月経たないと診断できないことになります。
ですから、生後2ヶ月ではなかなかアトピーと診断できないことになります。私は、申し訳ないことに日本皮膚科学会の診断基準はデメリットが大きいため、使わないようにしています。
この患者さんの場合、他の診断基準を用いて、アトピー性皮膚炎と診断しています。こうすることで、早期発見を心掛けています。
日本皮膚科学会のそれが、日本ではよく使われているようですが、日本での早期発見、早期治療のちょっと妨げになっているのではないかと考えています。
生後2ヶ月のワクチンデビューの際に、赤ちゃんの湿疹を早期に発見できるチャンスだと思っています。