時々、他県というか他都道府県の患者さんを診る機会があります。
最近多いのは、他都道府県のお子さんが、実家のあるこちらに戻ってきていて、“湿疹”が気になると受診されるケース。
もちろん、“湿疹”は地元の小児科なり、皮膚科なりを受診しています。先日、受診されたケースには、正直呆れてしまいました。
手首や足首がガサガサしており、地元の小児科医からステロイド軟膏が処方されていて、改善がないために当院を受診されていました。
まさによくあるパターンなのですが、ステロイド軟膏を塗って、よくなったら塗るのをやめて、悪化したらまた塗ってと言う指導をされていました。
診断名が呆れてしまったのですが、「汗も」なんだそうです。
「汗も」って暑い時期に見られやすい湿疹ですが、冬場でも見られてもおかしくはありません。ただ、ステロイド軟膏を塗れば、あっという間に改善してしまうし、ステロイド軟膏をやめても、すぐにぶり返すことはないと思います。
手首や足首にガサガサして、痒く、一見してアトピー性皮膚炎しか思い浮かばないような、典型的な湿疹でした。それを「汗も」と診断するなんて…。しかも、治療経過も大きく異なります。
多分、この医師は、アトピー性皮膚炎の湿疹をずっと「汗も」だと診断してきたのでしょう。
医師は、関心を持たなければ、誰も「正しい診断」という答えを教えてもらえることはありません。「汗も」だと思い込んでおり、疑問にも思っていないため、詳しい医師に相談しようとも思っていないためです。
もしかしたら、この小児科医の先輩医師が「これは『汗も』なんだよ」と教えたのかもしれません。湿疹の経過が長く、慢性的に経過していることがアトピーを疑う最大のポイントにも関わらずです。
今回の診断は、「汗も」でしたが、もっと勘違いされているのが「乳児湿疹」だと思います。誤診率は相当高いです。
ガッカリされた方もいるかとは思いますが、全国のアベレージ的な診療レベルでこういうことが繰り返されているようです。