先日、近隣の同業者から患者さんが逃げてこられました。
卵アレルギーがあり、家で卵白を「米粒」ほど食べるように言われていました。親御さんも与えるのが怖くて、なかなか進まないので、専門医の診療を受けたいという希望でした。
本来なら、医師の方が当院へ紹介状を書くべきなのでしょうが、全く連携は取れていません。同業者さんもコロナ禍で収入が減っているので、背に腹はかえられないのでしょう。
先ほど、「米粒」と書きました。これはどこからきているかというと、生後6ヶ月から卵を少量食べさせ続けると卵アレルギーを予防できたという報告をした先生が、少量の卵とは、米粒ほどの量を指すと言われていたことに由来すると思われます。
卵白を米粒ほどにすることって、結構面倒なことだと思いませんか?。
なぜこうなっているのか?というと、論文の内容を忠実に再現しようとするからだろうと思っています。
当院は、卵の加工品を用いています。例えば、卵クッキーならば、コンビニやスーパーで買えばいいだけなので、簡単で手軽に入手できます。
ただし、卵の含有量がやや曖昧で、クッキーを用いた研究は、論文になりにくいからだろうと思います。論文にするには、卵白を何グラムを用いたかという厳密さが重要なのでしょう。
この論文が書かれたのは、日本でトップレベルのアレルギー専門病院です。研究に基づいた方法で、やり慣れていると思われ、他の患者さんにもそれを適応することは、難しくなかろうと思います。
ただ、多くの開業医にやってもらおうとすると、ハードルが高いように思います。やり慣れていないからです。
本当なら、学会が加工品など入手しやすいものを使う方法を提示した方が、多くの開業医がやりやすいのだろうと思われます。
しかし、学会が特定のメーカーの商品を推奨する訳にもいかないということなのでしょう。
本来なら、学会がやりやすい方法を開業医のために提示する必要があると思うのです。要は、研究結果を一般化して、多くの医師が活用できるようにすることです。そうできていないことが、現場を混乱させる一因になっているのだろうと思います。
当院は、卵クッキーを用いていますが、小麦とともに焼かれているため、オブラートに包まれているような感じで、卵アレルギーの症状を起こりにくくしていると言われています。
つまり、加工品を使った方が、症状を起こしにくくすることができるのです。開業医にはとても有り難い方法だと思うのですが、学会はそういうやり方をあまり検討していないようで、積極的に食べさせるということができていないことにつながっているようです。
開業医でも気軽に導入できる方法を広めることが急務だろうと考えています。